山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ナツを見送りました。

10月3日の夕方、ナツが亡くなりました。

8月末に、血管肉腫であることがわかり、脾臓摘出、抗がん剤治療をしてきましたが、

願い叶わず、命を終えました。

手術以降、ナツの看病を中心にして暮らして来ました。

一時はだいぶよくなったので、獣医の先生からも

「抗がん剤が効いてきたのかもしれない、奇跡的回復だっ」

と言われて、このまま治ってしまうのでは…と期待したのですが、

二回目の抗がん剤投与の前日、朝ご飯は食べたけれども、夕方に亡くなってしまいました。

ナツは、広島の呉市の動物管理センターからもらい受けた犬です。

10年と6ヶ月。

うちの犬としてとても楽しい時間をくれました。

本当にかわいくてかわいくて、大好きでした。

朗らかで誰とでも仲良くなり(人間の場合)、ご飯が大好きで、先輩犬のハルが大好きで、

まっすぐな性格の犬でした。

亡くなった翌日、ナツの好きだった山の家に行き、一晩を過ごしました。

山の家に向かう途中で、野生の鹿に会いました。

鹿も見送りに来てくれたんだなと思いました。

富士吉田市にある霊園で火葬に付し、煙が立ち上っていくのを見届けました。

風となって、富士山まで上り、いつまでも私達を見ていてくれたらなと思いました。

何度見送っても、犬との別れに慣れることがありません。

また、会えるよね。

ナツに心からの感謝をしています。

 

 

 

ハナコプロジェクトができるまで 50歳からのスタート

9月になってしまいました。

というか、あと1日で9月も終わりですね。

ギリギリで、再び、お知らせでございます。

 

明日、9月30日(金)19時〜

 

NHK文化センター・青山教室(東京の青山一丁目にある)にて、

講演みたいなことをいたします。

タイトルは「ハナコプロジェクトができるまで 50歳からのスタート」としまして

ハナプロを始めるに至った経緯や、

最初に犬猫ものを始めたのが50歳の時だったことや、

イギリスでボランティアしたり、映画作ったり、テレビ作ったりしながら、

右往左往した先についに、保護団体を立ち上げてしまったこと。

そして、ハナプロとはどんなしくみで、何を目指すのか、

などについて、豊富や写真と映像にて、お話しする予定です。

教室での受講とオンライでの受講とあります。

 

どちらも明日の開始時間(19時)までお申し込みが可能です。

お時間ありましたら、どーぞよろしくお願いします。

 

ナツは闘病中ですが、一緒に住んでいるひとが、この時間は見ていてくれますので、

ご心配なくでございます。

(ナツ、小康状態で、ご飯も食べています)

 

動物病院で診察を待っているとき、小雨が降ったので帽子をちょこりと。

外出にはカートに乗っています。

長く歩くことはできないので、公園まで行って、ちょっと土の上を歩いたりしています。

 

一緒にいられる時間を大切にしております。

 

 

 

 

最近、見た映画まとめ

備忘録も兼ねて、最近見た映画、ドラマについて、書いておきます。

ネタバレとかあるかもしれないので、これから見るひとはスルーしてください。

「グレイマン」(監督 ルッソ兄弟)@Netflix

ライアン・ゴスリングが主演で、「007」を思わせるようなスパイアクション。

007はイギリスのエージェントでしたが、グレイマンは、CIAの工作員という設定。連邦刑務所に服役していたけど、誘われて、CIAの指示で暗殺を行うようになる。多分、よく出来たストーリー&派手なアクション&世界各地での大規模なロケが魅力なのでしょうが、そのあたりにはあまり興味がなく。

一番気になったのは、「007」と決定的にちがうことがひとつあったこと。それはとても大きな変化でたぶん、よいことだと思いました。

グレイマンは、仕事で関わった美女と恋愛したり、一夜の情事を楽しんだりしないんですね。

そして、彼と一緒に働く女性エージェントも、露出多めのドレスだったり、ピンヒールのパンプスを履いていたりしない。ちょっと考えれば当たり前のことですが、だって、ヒールやスリップドレスで闘うのは圧倒的に不利だから。

なので、登場するグレイマンの同業者の女性もパンツスーツだったり、歩きやすそうな靴を履き、ほとんど肌を露出しないんです。同僚と恋愛もしない。

これはきっととてもよいこと。

「007」シリーズを子どもの頃から見ていましたが、登場する女性たちのセクシーぶりが気になりました。セクシーさが消費されている感じがいやでした。それがなくても映画は作れるようになったんだなーってそんなことばかり考えてみていました。

 

「ある告発の解剖」@ネットフリックス

脚本と製作が「アリー・マクビール」のデビッド・E・ケリーと知って、一気見。

イケメンで誠実で人気もある政治家がレイプで告発されるところから物語はスタート。告発したのは彼の部下で、一時は愛人関係だった女性。レイプというと暗がりで見知らぬひとに襲われるイメージがなくもないけど、実際は、顔見知りによる犯行が多いんですよね。

で、男側は「同意だった」と言い張る。

この事件でも「同意」をめぐって、法廷で強烈な応酬が繰り返される。その時のこと(レイプ時のこと)をこんなに詳細に話さないといけないとしたら、告発する側は相当きついと思う。でも、それをしっかり描いているし、恥辱ともとれる状況でもひるまず、告発を続ける女性に頼もしさを感じた。

時代が動いている。

それに加えて、告発する側の弁護士も女性で、彼女の体験ともリンクしていて、ドラマを重層的にしている。

「グレイマン」もそうですけど、やっぱりこれらは「新しい試み」だと思う。これまでちゃんと描かれてこなかったもの。こうあってほしい現実を描くのが芸術のひとつの役目だとしたら、それを果たしていると思う。

こういうものを作りたいです、とあらためて思わされました。さすが、デビッド・ケリー。

 

「インティミダ」(スペイン・テレビドラマ)@ネットフリックス

「ペーパーハウス」があまりに面白かったから、スペインのドラマを見てみようとして、衝撃を受けた作品。これもある意味、セクハラがテーマ。主人公は、成功した女性政治家で、セックス動画が出回ったことで、政治生命も家庭もめちゃめちゃになっていくというストーリー。

「女性」が「政治家」みたいな「力」を持つとやられがちなことだけに、妙にリアリティがあって、恐かった。でも一方でそれをちゃんと映像作品にできるスペインのふところの深さよ、というか、真正面からドラマにできることのすばらしさ。そして、面白いし。

いやー再び、同じこといいますが、こういうの作りたい。ずっとずっとそう思って来たけど、実現できなかった。これからはできるかな。できるかな、じゃなくて、やってみよう、だよね。

 

「あなたの番です」(劇場版)@Amazonプライム

テレビドラマの「あなたの番です」がとても面白かったので、やっとこ見ました。

テレビ版と登場人物のキャラ設定は同じだけど、事件と展開がちがうのでした。

こういう風に作ったんだーって納得しながら見ました。

 

「コリーニ事件」(ドイツ映画)@アマゾンプライム

一つの殺人事件から戦争中の事件とその後の裁きについて明らかにされていく硬派な作品。

80代の成功した企業家(ドイツ人)がイタリア人の男に殺される。殺人犯は黙秘を続けて、その動機は謎のまま。弁護をつとめるトルコ人は、殺された企業家に子どもの頃から世話になっていたという背景があった。このトルコ人弁護士が殺人の動機を探すために、奮闘していき、そこで明らかになるドイツの戦後の闇(というのでしょうか)。

日本でも安倍首相が殺されて、いろんなことが明るみに出てきているから、相似形にひやっとした。

殺人も含め、事件ってそんなに簡単に起こらないよね。そこに至るまでの長い長い道のりがあると思う。その途中で、誰かが手を差し伸べたら、殺人までいかずにすむことってたくさんある。実際、そっちのが多いだろう、そうして事件を回避していく。

不幸にも回避のチャンスをことごとく奪われた場合、事件に発展する。

苦い苦い映画だった。

 

「コペンハーゲン」@ネットフリックス

全シーズン見た。デンマーク初の女性の総理大臣の物語。政治って大変すぎ。見ているのがつらくなるほど、いいことなんてほとんどない。それでも政治家でありつづけようとする意志ってなんだろう。自分などはとてもとてもできない。けれども惹きつけられてずっと見てしまいました。

 

刺激的な作品に出会えると、もう少し生きようと思います。

 

 

 

ハナプロについてお話しいたしまする。

NHK文化センターにて、「ハナコプロジェクト」について、お話しすることになりました。

教室でお話ししつつ、オンラインでも受講できるそうです。

 

犬猫ものの取材を始めて、早10年、何を考え、どのような方法でやってきたか。

テレビは7本くらい作りました。

映画は1本。 本は、三冊書きました。

そして、ついに、保護活動を直接始めることになったわけですね。

 

そこへ至る経緯、気持ち、ハナプロを一緒に作ることになった石田ゆり子さんとの出会いなど、お話して参ります。

 

1時間の講義と30分の質疑応答があります。

 

犬猫もののトークともうひとつの面は、「人生後半、ちがう生き方を考えた」みたいなことも話そうと思っています。

 

取材する立場から、実際動く立場に変わること、それまでやってきたのと違う分野に挑むことは、それなりの挑戦ではありました。

 

聞いてもらえたら嬉しいです。

 

教室受講

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1255992.html

オンライン受講

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1258633.html

 

戦争でも壊せないもの

4月にウクライナに取材に行った時のことを、朝日新聞のsippoに書きました。

 

sippo.asahi.com

戦争が始まって2ヶ月。

どうなるかわからない状態だったのですが、行く事にしました。

記事にも少し書きましたが、ドキュメンタリー映画の監督、渋谷昶子さん(しぶや のぶこ)から、以前にこんな風に言われたんですよね。

「迷ったり、わからなくなったら、現場へ行きなさい。行けば、何を撮るべきか、

わかるから。撮れば次も見えてくる」

今でもこの言葉に支えられています。

時々よくわからなくなります。何を撮ろうとしているのか、何を伝えようとしているのか。

そういう時は現場に行くとわかることがあるんですね。

「これを撮ろう」「ここはやめよう」って感じます。

資料を読んで、興味をもって取材に行ったのに、どうも先を続ける気にならないときもあります。逆に、偶然居合わせたところで、「わ、すごい」と思うこともあって。

 

なので、「行こう」という気持ちのまま、取材に行きました。

その時の記録になります。

 

 

「働きたくない!」が帰って来ます。

phaさんを取材した番組がまた、放送になるようなので、お知らせです。

 

あ、これは一番最初にphaさんと仲間達を取材したものです。

確か2013年の放送。

「働かざる者食うべからず」という戒めがまだ、有効だったころ、

「働きたくない!」とゆるやかに宣言して、その後の「働きたくない」ブームを牽引した

番組です。

ネット上で話題だった「メキシコの漁師」の話をCGで作ったりしました。

ドキュメンタリーといえば、汗と涙と叫び声、あるいは、潜入とか○○に迫る!というイメージがありますが、

このドキュメンタリーはですね、特に何も起こらず、熱いひとはひとりも登場せず、夢も語らず、けんかも罵倒もありませんでしたが、とても好評でたくさんの方に見ていただきました。

そして10年近くたっても再放送されるという人気ぶりでございます。

 

この機会によろしかったら、ご覧ください。

 

わたしもずいぶん、働かなくなりました。

 

「ザ・ノンフィクション お金がなくても楽しく暮らす方法」

CS放送(フジテレビTWO)

8/3(水) 28:40~29:30

 

https://otn.fujitv.co.jp/schedule/two/next2_week.html

 

http://otn.fujitv.co.jp/b_hp/917200055.html

近況です

5月20日から始まったハナコプロジェクト。

おかげさまでクラウドファンディングが大盛況で、ものすごくたくさんの方から支援をいただいた。ありがたすぎる。

一方で対応することもたくさんあり、自分の普段の仕事と重なり、始まって一週間くらいはほぼ寝れないくらい忙しかったです。

なれないことも多いし、動物愛護についていろいろ取材してきたつもりだったけど、実際やってみると、やはり全然ちがいました。まだまだ知らないことがたくさんある。

 

お問い合わせのメールとメッセージを読むだけで、一日が終わるという日々。

お答えするのが難しい案件もあり、パソコンのまえで悩みまくる。

このままいくとメンタル壊れるかもしれないと思いましたが、参考意見を聞きながら、

いろいろ助けてもらいながら、なんとか1ヶ月半を過ごしました。

 

他の仕事が全部後回しになってしまいました。

そんなわけで、sippoのウクライナ日記の2回目もようやく書きました。

 

がんばっていきまっしょい。

 

sippo.asahi.com

 

ハナコプロジェクト・インスタライブのお知らせ

ハナプロ インスタライブのお知らせ
 6/10(金)21:00よりインスタライブをすることになりました。
 ハナプロへのご支援をたくさんいただいたので、お礼の気持ちを伝えようと思いました。
 わたくし、代表理事の山田あかねと理事の石田ゆり子さんとやります。
ハナプロ立ち上げへの想い、医療費支援のしくみなどについても、この機会に改めて詳しくお話させて頂きたいと思っております。
【日時】 6/10(金)21:00〜 (予定)
 【開催アカウント】 @hanako_project
 
※視聴にはインスタグラムアプリのインストールが必要です。
フォローしなくても視聴は可能ですが、フォローして頂けると、ライブ開始通知が届きます。
アプリをインストールの上、
是非、「@hanako_project」アカウントのフォローをお願い致します。
(類似アカウントにご注意下さい)
 たくさんの皆様のご視聴をお待ちしております。

ハナコプロジェクト、始めました!

保護犬、保護猫、野良猫への医療費支援をするしくみを考えました。

今日、5月20日より、一般社団法人ハナコプロジェクトが始動しました。

1年くらい前から準備を始め、昨年の夏に法人を立ち上げ、いろいろ勉強しながら、今日を迎えました。

一緒に立ち上げたのは、俳優の石田ゆり子さんです。

これまで、「ザ・ノンフィクション 犬と猫の向こう側」や「花子と先生の18年」などのナレーションをお願いしたり、nhkbsの「家族になろうよ」で司会をしてもらったりしてきました。

その度に、「犬と猫のために、なにかできないか」という話になり、どんどん、話が進んで、ハナコプロジェクトを立ち上げることになりました。

詳しくは、ハナプロのホームページにも書きましたので、ご覧ください。

クラウドファンディングも始まります。

readyfor.jp


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どうぞどうぞよろしくお願いします。

 

ウクライナ&ポーランド取材日記1〜戦争中でも動物を救うひとたち

4月17日から5月3日まで、ポーランドとウクライナに行って来ました。

ロシアがウクライナに侵攻したニュースを見て、とても心を痛めていましたが、あるとき、犬と一緒に避難している人の姿を見て、そうか、戦争って動物も巻き込まれるんだなとあらためて思いました。

彼らはどうなるのだろうと検索すると、いろんな動物愛護団体が、戦争中でもがんばっていることを知って、胸の奥をぎゅーっとつかまれる思いがしました。

えらい、つよい、大事だよね。

どんなときでも動物を助けるひとがいる。戦争中なのに。

……そんなすごい場所に行ってみたい。動物を助ける人に会いたい。できれば取材したい。

そういう気持ちが止められなくなり、長年一緒にドキュメンタリーを作っているカメラマンとともにポーランドへ向かいました。

ワルシャワの中心部

到着したポーランドの首都ワルシャワはイースター(キリスト教の祝日)だったこともあり、にぎやかでお祝いムードに満ちていました。

街中にはウクライナの応援グッズを売る売店や緑と黄色のウクライナの国旗カラーにライトアップされたビルもありましたが、隣の国が戦争している危機感のようなものは感じませんでした。

 

翌日、車で4時間くらいかかって、ウクライナとの国境近くの町、プシェミシルに行きました。テレビのニュースなどでもよく紹介される、ウクライナからの列車が着くところです。

プシェミシル駅

駅舎は歴史ある建物らしく、外観も構内も美しかったです。

そして、構内は、避難してきたひとたちのためのコーナーとかお知らせとか、相談に乗ってくれるボランティアもたくさんいて、「ウクライナのひとを助けよう」モードにあふれていました。

 

黄色いベストを着たひとがボランティアで、私が話を聞いたかたはニューヨークから手伝いに来た、と言ってました。避難したひとに「なにか、困っていることはない?」と話しかけたり、ウクライナ語の通訳をするひとがいたり。すごい熱気でした。

 

 

(18歳から60歳までの男性はウクライナ国外に出られないので、避難してくるひとは、女性と子供たちがほとんどでした)

避難してきたひとたちのなかには、犬や猫と一緒の家族も結構いました。

「どこから来ました?」「犬と一緒でたいへんじゃなかったですか?」

…などの質問をしました。

長時間、列車に揺られて疲れているだろうに、みなさん、こころよく答えてくださって、

申し訳なくなるほどでした。

そして、犬を飼っている者のひいき目かもしれませんが、動物と避難している方達は思ったより、ずっと明るいんですよね。動物と一緒にいることが気持ちをなごませたのかなと思いました。

そして、なにより、避難してきたひとたちを助けようという盛り上がりに一番、心を打たれました。

行く前はですね、「国境近くの町は騒然としているから危険」みたいなことを言うひともいて、どんな感じだろうとドキドキしていました。

もちろん、私の知らないところで、恐ろしいことが起こっていたのかもしれませんが、

私が一番に感じたのは、世界はこんなにも友愛に満ちているということでした。

なんとかして、避難してきて、たいへんな状態のひとのために役に立とうするひとたちがたくさんいること、そのことに一番、心を打たれました。

戦争の悲惨さを伝えることもとても大事だけど、そんな渦中でも、

なんとかしようとするひとがたくさんいるってことを、私は伝えたいと思いました。

これから、16日間の滞在記を書いていきます。

朝日新聞のweb版のsippoさんにも明日(5月20日から)書いておりますので、よかったら、そちらも是非。