山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

SEX AND THE CITY5

 ああ、どうしよう、もうすぐSATCが終わってしまう。これが終わったら、見たいドラマがなくなってしまう。さびしい、悲しい、困る。この先、いったい、何をお手本に生きればいいの?(って大げさ)

 番組終了に向かって今回もすっかりまとめモード。キャリーはロシア人の芸術家と安定した関係を築き、ミランダは夫と子供と郊外の家を手に入れ、一段落。シャーロットは愛犬家の道まっしぐらだし、先が読めないのは、乳ガン抱えたサマンサくらいか。
 今回の注目は、なんといってもキャンディス・バーゲン演じるヴォーグの編集者の再登場。美人で仕事ができてセンスが良くてなんでも持っている彼女なのに(失礼、役名が思い出せない)キャリーに久しぶりに会って出た言葉は

 「いい男紹介して」
 
 そう、つまり、どんなに成功して美人でも50代になると男を見つけるのは至難の技らしい。
 さらに追い打ちをかけるように、80年代からのパーティークイーンだった女性が、ラリったまま事故死する。そう、ほんとにパーティーは終わったのだ。

 こうしてキャリーは迷っていたパリ行きを決意する。男のいない編集者にキャリーは自分の未来を見たというわけ。
 今、いい男を捕まえておかないと、悲惨な50代が待っているわよ、と。大多数の女性はこのような不安を元に結婚する。若さと法的縛りを武器に。
 ほんとにもう、女って過酷。 だけど、このまま終わっていいの?
   SATCのいいところはいつも、みんなが信じていた常識を壊して、新しいお手本を見せてくれることだったはず。
 好きなエピソードに、キャリーが友人の家で、マロノ・ブラニクの靴をなくすというものがある。キャリーは600ドルもした靴の行方を巡って何度も友人に連絡を取るけれど、子育て真っ最中の友人は、本気で相手にしてくれない。そして、こんなことを言う。
「600ドルの靴をはいてるなんて馬鹿げてる。私は本当の生活を見つけたからそんな無駄な靴を買ってられないの、キャリーも早く落ち着いたら?」
 高価なブランドの靴をはいて、好き勝手に生きるキャリーの生活を分かりやすく批判したわけ。けれども、ドラマは決してキャリーを批判しない。むしろ、そんなありきたりの正論をはく彼女をつまらない女性として描く。そして、再びマノロの靴をはいたキャリーは言う。

「シングルウーマンの道は厳しい。だからひとりで歩いていくためには、特別な靴が必要なんだ」と。

 なんてかっこいい。
 今回も一応の慰めはできていた。終盤、ヴォーグの編集者は、事故死したパーティークイーンの葬式に、外見はさえないけど独身で同世代のグルメ評論家と手に手をとって現れる。えり好みしなければ、50代でも男は見つかるわよ、と小さな希望が。

 とまれ、SATCが終わってしまうのは悲しい。パーティーが終わるよりずっとずっと。