山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

久本ドラマ(フジテレビ)


写真は、今日のドラマに出演してくれた、猫のテフ。
(photo by y .t )

今夜は、脚本を書いた、久本雅美さん主演のドラマの放送日だった。
この脚本を書いたのは、5月くらいのことで、すでにそのときの気分を忘れていた。
いろんなことがあって、撮影は8月になったし、9月には初めての本が出版されたし。
だけど、オンエアで初めて見て、なかなかよかった。(って自分で書いたのに)
だって、映像がとてもきれいで、せつなかったから。
久本さんが、どこにもでもいる、一生懸命で、少し不器用で、ちょっとさみしい無名の人に見えた。
そして、東京が、ずいぶん、きれいな街に見えた。

監督は、小松隆志さん。小松さんとは、長い長いつきあいだ。初めて会ってから、20年近くたつ。彼は前夫が立ち上げた制作会社で仕事をした最初の監督。自主映画出身で、ちょっと変わり者で。いろんなことに夢中になるひとだ。夫と小松さんと私の三人で、よく、深夜に食事に行った。誰もお酒を飲まないから、コーヒーやコーラを飲みながら、取り留めなく、映画の話をした。そして、時間が流れて、私の書いた脚本を小松さんが撮った。
なんだか、悪くない。

放送後、何人かの方からすぐに感想が届いた。「短編小説みたい」とか「引き込まれた」とか。うれしいなあ。

ひとのさみしさはほんのささいなことで、こぼれる。そういう瞬間を書けたら、と思っていた。鮭の皮は、普通のひとにとっては、鮭の皮に過ぎないけど、愛猫を亡くしたばかりの飼い主には、とてつもなく悲しいものに見える。けれど、鮭の皮ひとつで人前で取り乱してはいけない。みんな、そういう良識をそなえて、ぎりぎり感情がこぼれないように暮らしていると思う。
そういう瞬間。それを伝えたかった。

やっぱり、ドラマをつくることもやめられない。こんな日には。

スタッフのみなさん、ありがとうございました。

バカみたいだけど、自分で書いたドラマみて、ちょっと泣きました。