山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

脱・恋愛

昨晩、角田光代さんの「対岸の彼女」を読んでいて、なんだかはっとさせられた。
この小説のテーマは、女同士の友情といえるかもしれない。

女性が主人公の小説っていえば、テーマは恋愛と決まったようなもので、不倫であろうと純愛であろうと、性愛であろうと、とにかく「愛」がこの世でもっとも貴重なものでござんす、と持ち上げ、それを探したり、亡くしたり、奪ったり、築いたりが主に描かれている。
(ように思う)

書いてる方も売ってる方も、
「ほら、みんなの大好きなごちそう、愛の話だよ~」
って、鼻の下伸ばしっぱなしで、
「お客さん、うちのは上物でっせ、泣けまっせ、感じまっせ、イケまっせ」
と関西人の商人のごとく「愛」を売りつけてくる。

愛のたたき売りだ。

けどさあ、ほんとにそんなに恋愛は偉いのか。
それさえやっときゃ、OKだったのか。

(いえ、これはもちろん、自分に向けても言ってます。)

この世にはさ、恋愛以外の関係ももちろん、あったんだよね。
親子とか友達とか、先輩と後輩、上司と部下とかいろいろ。
 そういう関係<恋愛関係  つう図式がいつからか広まってしまったんだ。

「だって愛してたんです」っていえば、なんでも許されると思うなよ。
それがどうしたっつんだ!という気分になってきた。

そういうこの世の闇をかいくぐって、忘れていた女友達とのかけがえのない関係をしっかり描いた角田さんは偉い。
そして彼女に直木賞をあげた文春も偉い。

恋愛バカに冷や水をかぶせた感じ。
いえ、もちろん、私もしっかり水を被り、ひやっとして目が覚めた気がした。

そして気づいたのだ。
文学における、「恋愛」もしくは「男女の愛」関係テーマが急にすたれつつあることを。
だって、あの「野ブタ。」だって、恋愛は横に置いてるよ。

先日、インタビューした優秀な書店員さんも言ってた。
「もう、恋愛ものは飽きました」

そういえば、先日打ち合わせした、若手女性編集者さん(美人!)も同じようなこと言ってた。
「恋愛って私たちの世代にとってはすぐに手に入るものだから、
 テーマとしてはちょっと・・」
そう、そして彼女が掲げたテーマは・・・。
(おっと、これは、新しく書かせてもらうので今のところ企業秘密ね)

ふむ。
2005年 神は死んだ、じゃなくて、
恋愛はメインテーマから引きずり落ちた。
つまり、
「恋愛以外」をしっかり描くことが大切かも。
「脱・恋愛」とでもするか。

ということで、2005年のテーマは
「脱・恋愛」に決まりました。