山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

未来の村上春樹さんに。

村上春樹先生の「風の歌を聞け」を読んだのは、大学生の時だった。
立ち読みしただけで、くらっとして、なんだ、これは、と思った。すぐに本を買って、そのまま一気読みした。それまで読んできたどの本にも似ていないように思えたし、文章のなんとも言えない魅力、ストーリーではなく描き出す世界に、心底しびれ、驚いたものだった。

なぜ、そんなことを考えているのかと言うと、あの頃の村上春樹さんにあたる作家というのは、今は、誰なんだろうと思ったからだ。そこまで飛ばさなくても、村上春樹さんは、その後、芥川賞も直木賞も受賞されなかった。ということは、彼より上の世代のひとたちからは支持されなかった、ということなんだろうか。彼より年上の作家たちは、彼の小説を認めなかったってことなんだろうか。

賞はとらなくても、村上先生は、どんどん人気をのばして行って、一番の人気作家になってしまった。すばらしいことである。

で、また、元に戻るけど、今の時代に、かつての村上さんにあたるひとって出てきているのかってことが気になるわけです。それまで誰も書かなかった日本語で、みたこともない世界を描き出したひと。・・・やっぱり、まだ、村上先生を超えるひとって出てきていないと思う。

でも、いつか、どすんって感じでそういう小説に出会えるのかな。その時、私は、かつて、村上春樹の小説を、認められなかった年上の作家たちと同じように、やっぱり顔をしかめるのだろうか。

できれば、そういう小説に早く出会いたいし、好きになれるといいと思う。

ずっと書き物をしていたので、頭のなかが真っ白でうまく考えられないのでした。