山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

もてるってなにさ。

本日は、映画「アルフィー」を見ました。
いや~いろいろ考えさせられる映画でした。いえ、テーマは、終戦記念日でもなく、郵政民営化でもないんですけど、この手の映画に弱いんです。考えさせられちゃう。

簡単に内容を説明すると、イギリス人のアルフィーはNYマンハッタンに渡り、リムジンのドライバーをしている、ハンサムな青年。でもって、お金も夢もないくせに、やたらの女好き。

金髪でゴージャスな人妻(これを、「アリーマイラブ」のエレインがやってるのね)、料理が上手でキュートなシングルマザー、親友の恋人でとびきりセクシーなバーテンダーなど三又かけてつきあっている。

最初になにに違和感を覚えるかというと、アルフィー(いい忘れたけど、最近もてまくりのジュード・ロウがやってます)がですね、カメラ目線で話すことです。ちょっとひく。が、すぐにそのことには慣れて、次は、あんまりにもこのアルフィーってやつが、ヤナ奴なんで(特に女から見てね)、ゲッって気分になってくるわけです。

だって、例えば、「男が女を選ぶ時、大切にするのは、FBBだ」とかぬかすわけです。
(FBBだかFCCだか忘れたけど、FACE=顔、胸、腰の三つしか見てねえよ!ってわけです)
まあ、大多数の男の真実ではあると思うのですが、面と向かって言われると(なにしろ、カメラ目線だから)ムカつく~ってわけです。

もちろん、映画ですから、女をだましてとっかえ、ひっかえしたままで、物語が進むわけはありません。わかりやすいハリウッドのシナリオ構成に従い、最初の10分間は、アルフィーのもてぶり、いやな男ぶりを描く。これで、善良で恋愛体験の少ない男女は、心の底からアルフィーを憎むわけですが、それもお見通し。次の展開で、アルフィーに不幸が次々襲いかかるわけです。でもって、アルフィーが心を入れ替えて行くってのがまあ大筋でしょうか。

しかし、よおおく考えるとですね、アルフィーはほんとにもてていたのか、ってことなんです。なぜなら、三又といっても、相手は、人妻、シングルマザー、友達の恋人、と、どれをとりましても、パーフェクトな恋人とは言いがたい。彼がいつも「次の女」を探してしまうのもうなづけるような。


でさらに、次のステージでは、ゴージャスな美女→でも、ヤク中、リッチなキャリアガール→でも50代(!)、というふうに、なかなか、思い通りのひとはいないんですよ。
案外、もててないぞ、アルフィー。

結局、お定まりといえなくない、「愛こそ人生を豊かにすることよ」に映画は、収斂されていくのですが、まあ、殆どの小説、映画は「愛」にもっていくのがキマリですから、問題は愛にもっていくまでの「見せ方」でしかない。その意味で、アルフィーは充分、よく練られたシナリオであったと思います。

しかしさ、最後に愛にたどり着くとしても、それまでさんざん、イイ思いと悪い思いをしたからでこそなんですよね。それとさ、いつも思うことですが、ほんとにそんなに「愛」っていいんですかね。みんなが信じていない証拠ですよね、これだけ、愛が安売りされるの。
最近では、100円SHOPでも売っているらしい。みなさんも「愛」の衝動買いにご注意を。

そんなわけで、それでも充分楽しめる、考えさせられる、よく出来た映画でした。

それから
スーザン・サランドン演じる50代の成功した女性が、最後にひとこと、アルフィーに投げるセリフにしびれました。
酸いも甘いも噛み分けた女なら、スーザンのセリフを一生に一度は言ってみたい気分にはなります。あっぱれ。
(でも、ほんとうには私はそっちに興味ないけど)