山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

自由なひとだっているもんね。

そうか、あしたから9月かあ。そういう現実をつきつけられてみると、夏が終わるのだ、ということを認めないわけにもいかない。って、単になごり惜しいんだよなあ、夏が。別に小学生じゃないから、あしたから学校で憂鬱とか、宿題できてねーってわけじゃないけど、夏の終わり=夏休みの終わりという刷り込みによって、いつまでたっても、何歳になっても夏の終わりがさびしいのでした。

つまりさ、あまりに学校が嫌いだったので、お休みが終わるのがいやでした。当時は登校拒否という勇気ある行動が発明されていなくて、どんなにいやでもしぶしぶ、出かけていたのでした。でもって、中でも一番ながい夏休みが好きなために夏も好きになったのかもしれない。まあ、よくわからん。

そんなわけで、本日は映画「容疑者 室井慎次」を見ました。予想よりずっと難しい(っていうのかな)映画でした。つまりさ、「踊る大走査線」は、わかりやすいアクションというか動きをみせる映画だったと思いますが、現実の事件がそうであるように、目に見える暴力より、背後にある政治力やら権力やらのほうがずっと恐ろしいし、罪深いので、そっちがメインになっているからでした。

言ってしまえば上層部同士の権力争いに巻き込まれる、という話なのでしょうが、上層部の権力争いの様子って、「絵になりにくい」わけですよ。要するに実際は料亭そのほかで飯食って相談して、誰を追い落とすかってやっているわけで、やくざの抗争みたいに、殴ったり撃ったり切ったりというアクションがないわけですね。料亭で飯くったり、会議室で相談してても、映像的にはつまらんから、いろいろ工夫はしてあるわけですが、それでもいわゆる刑事アクションものではないから、一見まどろっこしい感じがしたのかもしれません。

しかしながら、出世争い、派閥抗争みたいなものって、今でも健在で、そのことについて考えると、暗たんたる気持ちになります。警察庁でも警視庁でもいいですけど、組織のなかでの自分の位置こそを最優先し、肝心の事件はほっておくという事態は、つらいですね。そういうことするひといるから、たくさん。
(警察が、というより、あらゆる組織で起こりうるって意味で)
そういう部分でちょっとひきつけられました。しかし、現実には、室井さんのような行動をとるひとは少ないのだろうなあ。
と、絶望的な気持ちになったけど、真実のために戦う、みたいなひと、やっぱりいました。しかも結構自分の近くに。そうだった。今朝ほどインタビューした著名なクリエーター、そして、彼の友人でもあり、私の友人でもあるクリエーターもまた、言論の自由求めて、大きな組織相手に戦ってました。そう、いるんだよね、ちゃんと。

大きな組織にいるひとは、まさかそんなひとがいるとは信じることができないから、(それは自分のなかの正義感を殺しているから)、いないようにふるまっているけど、いるんです。ヒトはそんなに捨てたもんばっかりじゃない。

そういう意味ではこの映画は絵空事ではなく、「あるよな~」という気分にさせられました。

初監督ということで、「こなれていない」感じはありましたが、力作でもあったような。大胆な部分もあったし。初めて撮るときの意気込みみたいなものが感じられました。それがある種、力の配分のバランスの悪さを生むんだけど、それを味わいと言う?

そんでもって、ヒットしておりました。劇場はほとんど満席状態でした。見にきていたひとたちも楽しそうで。「男はつらいよ」みたいなシリーズ化になっていくのでしょうか。

夏の終わりにはまったく関係ないですが、ふらっと見てしまいました。予告編を何度も見せられていたので、いったい、なんで室井さんが(って呼ぶほどこのシリーズを見てないし、よく知らないんだけど)逮捕されちゃうのかしら、という、興味があったわけですね。純粋に見たいな~という気持ちというよりは、どういうシナリオにしてくるのかしらん、という職業上の興味でありました。

なるほど、そういうことだったのか・・という結末ですが、始まったばかりの映画のネタバラシのような、はしたないまねはいたしません。室井さんって独身なのかな・・とどうでもいいかもしれないことを心配しておく。

そして明日から9月じゃ。

訂正:君塚監督はこの作品がデビューではないそうです。二作目とのこと。ここに訂正してお詫びします。でも、新人ぽさが出ていたのは事実。