山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

車内で針をさす

昨日の新幹線でのひとコマを。

平日の夕方とあって、新大阪→東京間の「のぞみ」はほぼ満席状態でした。わたしは三人がけの席の窓際で、隣には、20代中頃と思われる二人組の男性が着席しました。

彼らは、スポーツ選手系のひとらしく、ジャージ姿です。いわゆる肉体派って感じで、最近よく一緒に仕事をしているADの女子だったら即、「タイプ!」と喜びそうな、『イイ身体』の男子たちです。ワイルドな感じ?

でもって、聞くとはなしに彼らの話を聞く。どうやら最近、ひとりが女と別れたそうで、「次が見つからなくってさ~」と嘆いてます。すると、もうひとりの男が
「なんで次見つかんないの?」と尋ねる。

男、答えていわく、
「前の彼女は顔がかわいかったんですよ。だから、同じレベルで探そうとしてもなかなか見つからなくて」
「そっか。それは見つけにくいよね。いっそ違うタイプにしたら」
「ちがうって?」
「きれい系かグラマー系だよ」
「そうか、そうですね」

そこで妙に納得しあうふたり。むむむ。彼らにとって、恋愛ってそういうものなんだ~と今さらしみじみしました。

さらに列車は進む。

おもむろにひとりがもうひとりの手を握ります。あら、いったい何が始まるのかしら?ひとりの男は友達の手をていねいにマッサージしているんです。やられたほうは、「いいです、いい」とか声をもらしている。あんたたちって、そういう関係なの?と隣のわたしは目を離すことができません。

手のマッサージが終わると化粧ポーチのようなものが出て来る。え?化粧すんの?まさか。と思っていたら、ポーチに入っていたのは、『針』のセット。新幹線の揺れでなかなか取り出せないようで、危なげな手つきで針をつかみます。

でもってね、その針を友達の手のひらに打って行くわけ。針治療ですね。しかし、こんなに揺れてる新幹線のなかで、危険じゃないのかしら。見ている私のほうがドキドキしました。

片方の男は針をさしたまま、名古屋→新横浜くらい、じっとしているんですよ。なんか不思議な光景でした。


彼らにとっては、『顔のかわいい彼女』より、一緒にスポーツをしている仲間のほうがずっと信頼できるのだろうなあ。それが日常なのだろうなあと思うのでした。

しかし、その針治療がずいぶんと効きそうだったので、思わず、こっちも打ってくださいと言いたくなったのですが。