山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

日経おやじにてこずる

文芸評論家の北上次郎さんという方が、拙著「すべては海になる」をほめてくれた(He said 次は傑作?)のだが、記事の実物を見たいなあと思っていた。

○経新聞ってことしかわかんなくって、○の部分が「産」なのか「日」なのかさえ、はっきりしなかったのだが、どうやら日経らしいというところまでたどり着いた。けど、何月何日かはわからないので、三日ほど前、近所の高輪図書館に見に行った。

ところ、日経新聞って人気あるんだ。怪しいおっさんがずーっと読んでて、今週の束はいつで待ってもまわって来ない。仕方ないから、近くにあった「スパ」だの「日刊スポーツ」だのを読んで時間潰すけど、おっさん、いっこうに返してくれない、って私の新聞ではないが。

そんなわけで、この日はあきらめた。ところ、本日、広尾に行く用事があって、中央図書館に寄る。すると、ここでも高輪図書館にいたのと同じ人物が日経を独占しているのだ。

というのは、嘘で同じ人物ではないけど、似たキャラっていうんですか、平日に昼間から図書館来てなにしてんだ、この中年は・・といういかがわしいおっさん。(ま、私もだけどさ)

たぶん、株とかそんなもん(経済にまったくうといので株とかのあとが続かない、小豆相場とかなんかそういうもん)の動向を調べているのでしょうけど、そういう種類のいかがわしさ全開のおやじが、12月中の新聞を独占。今日は暇だったので、近くにあった「文春」を持って、おやじの後ろに着席。で、ちょろりちょろりオヤジを観察しながら、週刊誌を読む。

こんなことでもないと、週刊誌を読むこともないよなあ。いろんなひとがコラムを書いていて面白かった。で、待つこと1時間。1時間だぜ!

こっちは、文春とスパを一か月分くらい読んだよ。(飛ばし読みだけど)おっさんはさあ、ずっと12月中の日経を独占しているわけよ。ほんのちょっとでいいから見せてもらえませんか、と声をかけようとおもったけど、経済893みたいな様子だったので、ひるむ。

もし、記事が見つかったとしたらコピーしたいと思っていたから、コピー時間までに終わってほしいなあ、とじりじりしてた。しかも、日経を狙っているのが、どうやら私だけじゃない、という気配にも気づいた。

ジャンパー姿のにいさんも狙っているのよね。
同じものを狙っているので、彼の動きを見ればわかる。そのにいさんも興味なさそうに、東スポとかぱらぱら見ているわけ。しかも、おやじのななめ横でさ。

でも、私のが先に見つけたんだからねーという感じで、おやじから目を離さないで頑張る。オヤジも途中からは、「俺見られてる」と意識したようすだけど、すかさず、「待っているかもしれないけど、俺はそーゆーの全然気にしないからよ」と堂々と紙面をめくる。

で、日もすっかり落ちて、夜ご飯の時間になったら、オヤジ、やっと日経新聞の束を公共の場所に戻した。っていうか、オヤジが立ち上がったら、私も一緒に立ち上がり、満員電車の痴漢みたいにうしろからぴったりオヤジにくっついて、オヤジが日経新聞はなすまで、ついていった。ジャンパーのにいちゃんは、東スポのエロ記事に目を奪われていて、ノーマークだったのだ。

で、図書館にきて、1時間半くらいたってやっと、日経をゲット。そうはいっても12月15日(木)の夕刊だろうとあたりはつけたあったので、余裕で紙面をめくると・・「ない!」確かに、読書のコーナーはあるけど、私のコの話なんてこれっぽっちも載ってないじゃん。

で、11月20日以降からじっくり探す。と、やっと見つけた~。なあんだ、12月8日(木)の夕刊だったのね。見ればファックスで送ってもらったのと同じ記事。(当たり前なんだけど。でもうちのファクス、粗いからさ、ちゃんと実物見たかったのさ)

ここでフト思うわけ。「海」が出たのは、11月20日だけど、実際に書店に並んだのは、23日頃でしょ。でもって、書評は12月8日に載ったということは、出版されてすぐ読んでもらえて、それですぐ書いてもらえたんだなー、ということがわかり、にわかに感激。

これがわかっただけでも、半日かけた甲斐あるよね?

で、夜は、昨日、友人から借りた「月とチェリー」というDVDを見たす。タナダユキという女性監督の作品。

うーん、面白かったよー。

そんなんで、日経オヤジに半日潰されたけど、シメはよい一日でした。

「月とチェリー」については、あらためて書きたい。こういう映画見ると、人類はよい方向に進んでいるのではないかと思うのだった。「愛」とか口にする女が「バカ」に見えるようにきちんとつくってある映画だった。