今日は、桐野夏生さんの「ローズガーデン」を読んだ。
ううむ。しかし、これってどうなのかしら。
桐野さんはデビュー作「顔に降りかかる雨」で村野ミロという誠に魅力的で、それまでの女性探偵にはなかったキャラクターを造詣したと思う。その新しさには脱帽する。その後、「天使に見捨てられた夜」と続くわけだけど、冊数を経るごとにミロさんのキャラクターに違和感を持ってしまった。
統一したキャラクターとしては、どうしても無理があるように思えた。もちろん、読者を裏切り続けるという、挑戦に出ているのかもしれないけど、「ダーク」と「ローズガーデン」での、義理の、とはいえ、父親と高校生の頃から寝ていました、というのは、最初のキャラクターと、ずいぶんとずれていると思った。
たぶん、そんなこと、桐野フリークの間ではずっと前にかわされた会話で、「今さら、なに言ってるの?」ということかもしれないけど。そして、特に「ローズガーデン」で見られるような、義父と性的な関係にあることを「楽しんでいる」高校生というキャラクターは、新鮮だけど、その彼女が成長して、父の仕事をつぎ、時々助言を求めながらも、ついには、見殺しにする、という展開は、無理がありすぎる。ひとつの人格として、到底、受け入れがたい、釈然としないものが残った。
そんなことを考えつつ、外を見ると、すごい雪だった。
暖かい部屋のなかから、降り積もる雪景色を見るのは誠に楽しい。
雪は降るだけできれいだから好きだけど、雪国で育ったひとからは、「そんな甘いもんじゃない」って
ぴしっと叱られたこともあったな。
雪は年に一度くらいしか降らないから、特別の思い出として、その時、誰と雪を見たっけ、なんてことを思うのだ。今回の雪もたくさんの事故をひきおこしているけど、どうしても、センチメンタルな気持ちで雪を見てしまうのだった。
かつて、いっしょに雪をみたひとたち、元気かな。
(桐野さんの小説の話と雪の思い出が両立するわけだから、自分も分裂してるかな)