山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

この世にひとり。

DVDでフランス映画「息子のまなざし」を見る。

主人公は、職業訓練学校の教師。彼のもとに、彼の息子を殺した少年が、刑期を終えて、入学してくる。主人公は迷いながらも、その少年に木工を教え、次第に少年から慕われてていく。といったストーリー。監督がドキュメンタリー出身だそうで、なるほど、手持ちカメラ、多分ノーライト(自然光)。しかもほとんどがアップで、たいへん画面が息苦しい。

息子を殺され、その結果、離婚した主人公の、茫漠とした心象風景をあらわしているのだと思うけど。
音楽もないし、わかりやすい演出はいっさいなし。だけど、もちろんこれはドキュメントではなく、フィクションだから、全部、「そういう風にみえるように」演出しているのだろうけど。自然にみえる究極の演出。でも、ちょっとやりすぎのように思えた。だってどんなにリアルにとっても、それがフィクションであることは、見ているものには自明なんだから、かえってしらけるような気がした。もっとも、実際はとてもベタなテーマであるから、わかりやすくとると簡単な「お涙もの」になってしまうからでしょうか。

夜はドイツ映画を1本。昨日から通算4本見て、結構、生き返った。やはり、映画と本は生きるよすがなのだ。多少、つらい出来事があっても、映画にひたっていると、精神の底まで壊れないですむ。なぜかわからないけど、自分の人生とは別の物語に入っていると、呼吸が楽になるというか。

そんなわけで、相変わらず、人生崖っぷちだけど、映画と本と犬があれば、なんとかなる。