山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ダンディの怪

「ちょい悪オヤジ」全盛らしい。
地下鉄のポスターでは、阿部寛さんが「去年より遊んでいるか」と問いかけてくる。
阿部寛、40歳なのだ。

雑誌「レオン」や「ウノ」やらがあおるから、勘違いオヤジが増殖しているようだ。

先日、20代後半の女子らと飲む機会があった。そのとき、ひとりの子のメールの着信音が鳴った。携帯をみた彼女は顔をしかめ、読まずに携帯を閉じた。
「誰から?」と問うと、「ダンディくんとでも呼んでおきましょう」とのことだった。

ことの発端は彼女が、そのオヤジを「○○さんってダンディですよね」と言ったことらしい。彼女にしてみれば、「ダンディ=オヤジ」だから、あなたは、恋愛市場に入ってませんと告げたつもりだったらしい。ところが、相手は誤解し、以来、勘違いメールが届くのだそうだ。仕事の関係者なので、むげにもできず、困っているらしい。

「しかも、妙にブンガク入っちゃって」と嘆くのである。文学という言葉をチャラけて使われるとピクっとしてしまう私であるが、どうもメールにて、「自己を語っちゃっている」らしい。
うう。痛いぞ、ちょい悪オヤジ。でも気持ちもわかる。よよよ。

聞けばそのオヤジ、阿部寛さんと同世代。
「あんたは阿部寛じゃないんだから」と彼女は言う。
わかるわかる。

私も自慢じゃないが、黒木瞳さんと同世代だ。だからといってですね、自分も黒木さんと同じようにふるまっていいとは思いませんよ。だって、黒木さんは20年前から美しいわけで、ステージが違うもの。

こういう部分、女のがシビアだよね。考えてみると、オヤジのほめ言葉には、ダンディやロマンスグレーやらという表現があるが、女はない。熟女っつうのも下品だし。いや、しかし、ダンディもロマンスグレイも外来語である。大和言葉ではどうなのかしら。

いいや、そんなの。これ以上中年オヤジを持ち上げる言葉を見つけなくていい。

そんなわけで、ダンディの怪。