山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

リアル主婦ライフのもがき



写真は、小説家仲間、松村比呂美さんの新作「幸せのかたち」。

昨晩、一気読みしました。
中学の同級生だった、30代の3人の主婦の物語だ。主人公は、中学の頃は、勉強もスポーツもできて、おまけに美人でちやほやされていたが、今では賃貸アパートに暮らすさえない主婦である。一方、中学の頃は、目立たず、誰からも記憶されず、地味だった同級生が、今ではリッチな高層マンションで贅沢三昧に暮らす主婦として、登場する。このふたりの出会いから、それぞれの暮らしが不協和音を起こし始める。

タイトルの「幸せのかたち」通り、しあわせのかたちはひとそれぞれである。高層マンションで贅沢な生活ができなくても、充分幸せになれるはずだが、かつての友がそんな暮らしをしているとわかると、自分と比べてしまうし、動揺してしまうのだろう。

そうか、主婦のひとってこうやって、お互いを比べあっているのね・・と妙に客観的に読んだ。主婦じゃなくたって、昔の友達がすごく成功してたら、動揺するのは同じだろう。しかし、自分の手で自分の人生をなかなか切り開くことにできない主婦にとっては、どうしても他人と自分を比べてしまうのかもしれない。

そうなってくると、結構きついのだろうなあ。好きで入った檻から抜けられない苦しみみたいな感じだろうか。(主婦のひと、怒っちゃいます?)小説はそのあたりの主婦の葛藤を上手に描いていた。
サスペンス系であるので、詳しい内容はさけるけれども、初めのずれがそれぞれの暮らしにどんどんヒビをいれていく。そして、三人の主婦は、思っても見ない結末を迎えるのであった。オオ、コワ。

そっか、主婦ってこんな感じなんだ~と妙に新鮮でした。実は、「家事って息抜きになるよね」と著者に話したところ、驚かれてしまったのだが、そうだよね、主婦にとって家事は仕事なんだから、息抜きになるはずがない。失礼しました。

テレビの仕事って息抜きになるよね、と言われたようなものだ。・・いや、ある意味、息抜きになるかな。・・ま、それはともかく。

初夏の夜、主婦=女の気持ちの底を覗いてみてはいかがでしょうか。