山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

救いがなさすぎるのもどうかと思う。

もうすぐ、引っ越しであわただしいのだけど、(といっても、まだなんの準備も梱包もしてない)レンタルの返却日が迫っていたので、「バッド・サンタ」(テリー・ツワイゴフ監督)と「ニライカナイからの手紙」の2本を見た。(「ニライカナイ~」は仕事上の理由で見たので感想は控える)

「バッドサンタ」かなり期待してみたけど、いまいちだったなあ。この監督の前作「ゴーストワールド」が10代の女の子の話で、十代の女の子を主人公にした途端に、多くのひとがとらわれる幻想(少女ってピュアとか少女って残酷とかそういうありがちなやつね)にいっさい、とらわれていず、新鮮でかっこいい映画だった。けど、「バンドサンタ」はなんとなく後味の悪い映画だったな。

そのひとつが、サンタのキャラだろう。アルコール依存症で、女に見境がなく、言葉遣いも乱暴だし、道徳心のかけらもないし、そもそも、泥棒が本職だし。映画のなかで、自分の父親もアルコール依存症で、なにを言っても、殴られた・・と告白するシーンがあるけど、つまり、アルコール依存症の家族を持つとその子もまた、同じようなマイナスを背負うっていう、精神医学的整合性はあるにせよ、(つまり、主人公のサンタが悪いやつなのは、彼の罪ではなく、生育環境に問題ありとする)それでも、笑えないくらいヤナやつだった。

普通、映画だとあそこまで、露悪的には描かないよね、なんたって主人公なんだし。どこかに良いところを残しておいて、そこをていねいに描く。けど、この映画ではそういう「手」はいっさい、使われず、そういう意味ではかなりリアルである。ダメなやつはとことんダメだって感じ。私はリアルな方が好きなんだけど、あまりに救いがないように思った。それに、彼の相棒が殺人までするのは、笑えなかったなあ。

そんなわけで、「映画見た」って感じには至らなかった。夜は、近所のピザやに行く。ここは、大きな釜があって、そこで焼いてくれるので、結構美味しかった。あー、ついに引っ越し。明日こそ、荷物の箱詰めをしなくては・・。