山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

濃密なアジアの旅とか。



写真は、元気を取り戻したようで、親子でボールをとりあって遊ぶ、ミニ&カナ。(本文にはあんまり関係ありません)

資料読みで、中島らも「水に似た感情」渡辺満里奈「満里奈の旅ぶくれーたわわ台湾」を読む。「水に似た~」は、著者と思われる人気作家がテレビ番組の取材で、バリ島を訪れる話です。著者もあとがきで、ほとんどノンフィクションですと書いているので、主人公=らもさんと思っていいようだ。

内容がテレビ取材のため、他人事とは思えずに読んだ。このクルーがかなりひどい。数日前にロケハンでバリ入りしているが、ロケ地選びはほとんどコーディネーター任せで、おまけに、遊びを目的としたプロデューサーが2名随行しており、しかもその遊びとは、マリファナ及びハシシの吸引という、とんでもないひとたちである。スケジュールも構成も出演者にわたされぬままに取材が始まる。しかし、こんなロケ隊、ほんとにいるのかなあ。私は20年テレビの演出やってるけど、こんな甘いロケで乗り切れるほど、テレビって楽ではない。ま、広い世の中、こういうこともあるのかもしれないけど。

私がもっとも驚いたのは、主人公=らもさんらしき作家に対してであった。いい加減なロケ隊に対して、深夜に会議を招集したり、スケジュール通りに撮影するよう指示したり、あげくは、ディレクターにたいして、テレビの演出とはなにかまで説くのである。もっとも、こんなロケ隊だったらそうでもしないと仕方ないのだろうけど、意外だった。なんか、まっとうすぎて。

中島らもさんという作家に対して、もっとこう、ラフな感じというか、テレビのロケに強い意味を見いだすタイプとは思ってなかったのだ。まるで某国営放送のアナウンサー並のまともさであった。しかし、後半では、出版社にお金を出させて、愛人やらをつれて、再びバリを訪れたりしているので、一貫性はないかもしれない。

次に読んだ「旅ぶくれ」。これは自分も台湾を一緒にめぐっているような気分が味わえて楽しかった。渡辺満里奈さんは文章が読みやすくて、あたたかい。らもさんのバリ紀行と続けて読んだため、すっかり、自分もどこかアジアに旅に出たくなってしまった。

東京にこもってばかりいるような気がしたけど、6月には沖縄に10日くらいいたし、3月にも行ったし、昨年はイタリアに10日間くらい、韓国には二度行き、通算二週間くらい滞在した。がそれもすでに過去の話。都内滞在が二ヶ月くらいたつとどこかに行きたくなるのだ。実際、その二ヶ月の間にも、海の家に出かけたりもしれるのだが・・。

20代の頃から、国内外、あっちこっちロケに行ってきたから、旅暮らしが身体に染みついているのかもしれない。「水に似た~」にしろ、「たわわ~」にしろ、とても懐かしく読んだ。それは、行き先のアジアに対してというより、仕事でみんなでわいわい行く感じかな。たいへんだけど、これが楽しいんだ。観光旅行で行くより、濃密な時間が過ごせるからね。

テレビの仕事に郷愁を覚える夜。