山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ものごとの表と裏。



雨の日は、なんか、つまんない・・・そんな表情のミニ。顔の側にあるのは、かじって小さくなった骨。

昨日は、9/11のテロ以来5年が過ぎたということで、各メディアでいろいろ検証されていた。ブッシュ政権が「テロと断固として戦う」という姿勢を示したことで、それまで無名であったアルカイダの名前を誰もが知ることになったり、アメリカ対イスラム世界(?)の構図が明確になったりした、という記事があった。「テロと戦う」と宣言することで、かえって、テロリストを増やしてしまった・・という皮肉な結果である。(主に朝日新聞ですが)

記事を読みながら、「アンチ」が存在を強く主張することで、かえって、否定しようとしたものが有名になっていく・・という構図を思い出した。昨年、韓国に文学の取材にいった時、知ったことだけど、韓国では数年前、クイヨニさんという女子高生作家がデビューし、絵文字や勝手につくったハングル文字を使用した小説を発表したことで、一大ブームが起こった。クイヨニの小説はベストセラーになったんだけど、彼女を有名にしたのは、「アンチクイヨニ」の存在であった・・とさるジャーナリストは語っていた。

つまり、「クイヨニの小説は文学ではない!」と怒り出したひとたちがいて、クイヨニを文学界から排斥しようとしたのだ。が、この騒ぎによって、普段、文学に興味のなかったひとたちまでが巻き込まれていき、クイヨニはどんどん有名になっていった。本人は、このアンチクイヨニのせいで、大学の国文学科への進学を断念、芸能人が集まる演劇学科に進むことになったりもしたから、かわいそうだったんだけど、一方で、小説は300万部売れた。

うちの近所にあるヨン様の店も同じような運命にある。「ヨン様の店ができた!」だけでは、週刊誌は記事にしない。が、「アンチ・ヨン様の店」のひとたちが文句を言い出すと、途端に活気づくわけである。マスコミとはそんなもの。それによって、ヨン様の店は、ヨン様ファン以外にも注目を集めることになり、アンチヨン様からの嫌がらせは受ける一方で、無料の宣伝をしてもらえる・という結果となる。

ひどく売れるということは、かならず、反対の立場のひとたちを生むのだから仕方ない。ものごとには、常に両面あるからね。

なんてことを考えた雨の一日。