山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

あたしたちの好きだった革命

新宿シアターアプルに鴻上尚史作・演出の「ぼくたちの好きだった革命」を見に行った。非常に忙しいさなかだったけど、せっかくとってあったし、見たかったから。

内容は、1969年に高校で学生運動していた高校生の闘士が、機動隊にやられて30年間眠り続け、1999年に目を覚まし、高校に復学し、文化祭の自由化を求めて、再び学生運動を始める・・というもの。ちょっと複雑なのは、最初は2007年から始まって、99年の学生運動のとき、高校生だった男子が教師として母校に赴任し、99年の運動について書かれた小説(ドキュメント?)を発見するところから始まるということ。

学生運動華やかなりし頃に昏睡して、目が覚める・・というモチーフは面白いけど、リアルに07年に目が覚めることにすると、主人公は55歳になっていて、その年で高校に復学し、再び運動を開始するというのはあまりに無理があると考えて、30年後の99年に設定したのだろうか。気持ちはわかるけど、そのせいでお話が複雑になってしまったように思った。

まんま55歳だったら、だめだったのかな。それとも、あえて二段落ちにしたのは、その後の学生運動が、浅間山荘事件とかの悲惨な出来事に発展してしまったから、「意味なかったじゃん」という結末になってしまうからか。99年の高校生の運動も結局は惨敗するんだけど、その8年後、当時高校生だった女子(片瀬那々さんが熱演)は、パレスチナに渡り、NPOに入って、闘っている・・という結末を用意することで、「そのとき、機動隊(=国家権力)に負けたことは確かだけど、運動は意味がなかったわけじゃない」ってメッセージを届けるためかな。

中村雅俊さん扮する、30年ぶりに目覚めた高校生が、ビートルズが教科書に載っていることに感動するシーンはよかったな。そういう小さな部分でさ、時代は悪くなるばかりでもない・・って思うんだよなあ。正しいことは歴史がゆっくり証明する・・ってところは良かったな。あと、早大全共闘のヘルメットを息子に手渡すパンやさんのお父さんとか・・ちょっと泣けた。

僭越だけど、自分がこういう物語をつくるとしたら、やはり、主人公は女の子にする。そして、47歳で目覚めて、すっかり見た目がおばさんになっていて傷つくけど・・でもさ、この30年で女のひとを巡る状況はびっくりするくらい変わったから、女の子のほうが感動が大きいと思う。京大全共闘だった上野千鶴子さんが、東大総長になっている・・というのはどうかしら。(可能性なくないし、そうなったらいいと思ってる)ハーバードだって総長は女性だし、ついでにヒラリーさんがアメリカ大統領になっててほしいな。男の子の革命は、ビートルズを教科書に載せるくらいの結果しか出せなかったけど、(失礼)、女の子の革命はもっと遠くまで行ったんだよ。(遠くまで行くんだ・・・・は吉本隆明さんですけど)・・・と信じたい。

自分がテレビの仕事を始めたときは、「女子はロケに連れて行かない」なんて言われたし、「ディレクターにはなれない」とも言われた。今ではセクハラで訴えることもできるし、ほんといい時代になったと思うんだよね。

長く生きて、歴史の結末を見られるってことは、楽しいなあ。第三舞台は、自分が学生の頃に旗揚げで、その後もずっと第一線であり続けてる。そういう部分にも感動してしまうのでした。若い頃、一発あてて消えていくひとも多いなか、ずっとやり続けることのかっこよさを思うのでした。