山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ブラック・アウト実況

昨日は、ひさしぶりに貧血して意識を失うという目にあったので、今日はおとなしくしていた。

もともとアルコールに弱いにもかかわらず、若き日は、無理をして飲んだものであった。それが習慣になったせいで、少しはアルコールに対する耐性ができていたようだったが、ここのところ、ほとんど飲まなくなったら、その耐性がすっかり消えてしまって、ホント、ものすごいことになっていたようだ。

友人と渋谷のバーで飲んでいて、トイレ行こうと思って席を立った。初めて入った店だったけど、なんとなくトイレのある方向は分かった。そこへ向かって歩いて行こうとした。が、途中でまず、耳がおかしくなった。店中のひとびとの話し声、音楽、グラスのぶつかるかちゃかちゃいう音、店の外の雑踏(その店はオープンエアだった)、それが、ごっちゃになって、音響効果をかけたように、ぶよ~んと歪んで聞こえるようになった。オーケストラリハーサルのまんなかで、全部の音を聞かされている感じ。

次に、視界が急に暗くなった。もともと黒を基調にした薄暗い店だったけど、その映像が、ぐにゃりとゆがんで、編集で映像をいじったみたいな感じになった。ピントはずして、ソラリゼーションかけて、モノクロにした感じ。音も映像も、効果かけすぎや・・・って感じになり、次に自分の足が自分の意志では動かなくなった。前に進もうとしたら、全身の血が一気に地面にむかって下降し、すとん!という感じで崩れおちた。

そのような事態であるのに、もうひとりの自分が、自分の崩れていく後ろ姿を見ている。あ、倒れてゆく!って感じ。友人が気がついて、席を立ち、隣に来て、私の名前を呼ぶ。バーテンダーがそばにきて、「お客様、大丈夫ですか」とたずねてくれる。いいえ、全然、大丈夫じゃない・・と思ってるけど、なにも言えない。そのまま、床に尻餅をつくように座る。そんなときでも、あーGパンで良かった・・などとみみっちいことを考える。

が、一方で、ものすごくやばい感じがしてくる。まさか、このまま死ぬのかな。死ぬってこんな感じ。私って渋谷のバーの床で死ぬタイプだったのか・・などと考える余裕はなく、お願い、心臓止まらないで・・と思っていた。息が苦しくて、ものすごく頭がわんわんとして、頭痛というより、揺れてる感じがした。バーテンダーのひとがもってきてくれた水をひとくち飲んだら、すこし、生き返ったような気がした。

友人がタクシー呼んだから、送っていくから・・などとテキパキ働いているのを、ものすごく遠い出来事のように感じている。けど、意識を失っているのか、とにかく言葉にならなくて、ただ息をしている。きっとみっともないんだろうな、ごめんね、友達・・けど、すごく親しいひとで良かった・・彼なら安心だ・・なとどいろんなことを考えていたようにも思う。どれくらいの時間が過ぎたのかわからないけど、少し動けるかもしれない・・という気持ちになる。たぶん、数分だったと思う。

それからようやく立ち上がり、トイレに入る。ベルトなど身体をしめつけるものを全部はずして、トイレの床に再び、倒れる。そのまま、また、少し気を失う。が、トイレに入るとき、カギをかけなかった。このまま、再び、失神した場合、カギがかかっているせいで、助け出されるのが遅れて死んだら、いやだなととっさに考えたのだ。たとえ、用をたしている最中であったとしても、みっともないとしても、死ぬよりはいいだろう。まだ、やっぱり死にたくなくて、そのようなリスク回避の行動をしていたのだった。本能か。

象などは、死ぬ姿をヒトに見せないようにするようだけど、私は象じゃなかったせいか、それともまだ、生にしがみついていたかったせいか、とにかく、カギをかけなかった。いずれ、誰かが、ドアを激しく叩き、「大丈夫ですか?」って言うんだろう、なんて思ってた。が、なにも起こらなかったので、呼吸も落ち着いてきたし、手を洗って、トイレを出た。友人がすぐに来てくれて、店の前で待っていたタクシーに向かう。立つとまた立ちくらみがしたので、はうようにして、タクシーに乗った。

貧血は、子供のころからよく経験しているので、自分でもなんか対処方法がわかっている。来るな!と思ったら、来るし、来たら、とにかく、横になってじっとして、足に落ちてしまった血がふたたび、全身にまわるのを待たないといけない。頭を下げていないとだめなのね。

だから、タクシーのなかでも、ふんぞり返ったひとみたいな座り方をして帰ってくる。そのころになると、ダイブ回復してきたので、友人とと話したりしている。「実はものすごいストレス抱えているんじゃないの?無理しすぎなんじゃないの?」と優しく言われ、泣きそうになる。まだ、半分酔っぱらっているから、いろいろなんかしゃべったような気がするけど、あんまり覚えてない。ただ、そうか、自分はこんなにもクタクタで、たくさんお酒を飲まないとやっていられないほど、追いつめられていたんだな・・身体の方が先に壊れたんだな・・なんてことを思う。

家について、エレベーターのなかでも崩れたまま、部屋に上がる。犬たちが、走ってきて出迎えてくれるので、すこし元気になる。水をのんで、服を着替えたら、かなり楽になる。普通、そのまま、寝るもんだろうけど、なぜか、ブログを書く。来ていたメールにもどんどん返事を書く。snsの日記に書き込みもする。頭の半分くらいで、こんな酔っぱらって、しかも貧血中に、文章書いても、めちゃくちゃだろうーなんて思ってる。

が、さっき読むと、昨日の日記、わりとまともだよね?(誰にいってる)。

そんなわけで、ブラックアウト、実況でした。飲み過ぎには注意しましょうね。