さっき、朝日新聞の夕刊を見たら、日本映画監督協会新人賞の記事が載っていた。
受賞したのは、「ジャーマン+雨」の横浜聡子監督。
実は、私もこの賞の選考委員をやってました。昨年末、協会のほうから言われて、最初は、「映画1本も撮っていないので、へんじゃないでしょうか」と断りを入れたのですが、ここ何年かは、劇場公開の映画だけじゃなく、テレビ番組もその対象になるということで、(実際、岩井俊二監督は、テレビドラマ「打ち上げ花火」で新人賞を受賞している)、テレビ番組なら数百本くらい演出してるし、ドラマもかなりの本数やったので、じゃ、やってみようかな~ということで参加しました。
結果からいうと、とても勉強になったし、楽しかったです。去年撮られた新人監督の作品、25本くらい見ました。公開中のものはなるべく劇場に足を運び、そうじゃないものは、DVDで1日、2~3本くらい見たかな。で、そのなかから、第一次選考みたいな感じで、半分くらいに減って、次に最終選考で、4本が残った。
この過程のなかで、他の選考委員たちと一本一本の映画について、話し合うというか批評しあうんだけど、それがやっぱり面白かった。だいたい、基本的な感想は似てるんですよね。選考委員長は、緒方明さんで、このほかメンバーは、高橋伴明さん、本田昌宏さん、 斉藤信幸さん、内藤忠司さんそして私の6名でした。
やはりみなさん、熟練の監督たちなので、見ているところが鋭くて、勉強になったなー。少しだけちがったのは、私は、松尾スズキ監督の「クワイエットルームへようこそ」とか、藤田容介監督の「全然大丈夫」、オダギリジョー監督の「帰ってきた時効警察」なども好きで、結構推したけど、残りきらなかった。
それで、最終選考に残ったのは、
富田克也監督「国道20号線」
横浜聡子監督「ジャーマン+雨」
吉田恵輔監督「机のなかみ」
吉田大八監督「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
の四作品でした。当初から、「ジャーマン」と「腑抜け~」は圧倒的な支持があったので、このうちのどっちかになる感じでした。「国道」と「机」については、強烈に推す委員がそれぞれいて、最終はこの四本になったという感じでした。
「ジャーマン」も「腑抜け」もかつての日本映画では、ヒロインにならなかったような、“変わった”もしくは、“異常な”、もしくは“過剰な”女性が主人公。ストーリーも破天荒だし、おもしろさも強烈で、最後は大接戦でした。
この経験を経て、「映画ってなんだろう」「監督ってなんだろう」というのを深く考えました。自分は、もともと、監督の息づかいや手触りが感じられるような映画が好きで、どちらかというと、ハリウッドの大作のような、よくできたものより、多少つこわれてても、「監督らしさ」がにじんでいるような作品が好きなので、それをあらためて確認した感じでした。
というわけで、よい経験をさせてもらいました。これまでは、賞に応募して、選ばれるのを待つ側ばかりだったので、選ぶ側の気持ちも体験できて良かった。
ということで、今夜もワンクリックで。