山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

冗談、再び。

ミラン・クンデラの「冗談」を読んでいるのですが、これがどうしようもなく、面白い。

ああ、小説ってこういうふうに書くんだ。ストーリーとしてのおもしろさも充分に備えながら、社会主義ってなんだったのか、キリスト教的世界観とはなにか、男女の愛ってなに、性愛ってなに、人を許すってなに、って、ものすごい難題につぎつぎ苦悩しつつ答えていく。すごい、すごすぎる。ってバカみたいな文章になってるけれども。

すると、自分の書いてるものがつくづくちっぽけに思えてきて、あーどうしよう、と戸惑ってしまう。

がしかし、ミラン・クンデラですよ。アラゴンが今世紀最大の作家とよび、ノーベル文学賞の候補になるような、巨人です。そんな私ごときが、ただ小説というものを書いているというだけで、一緒の気になっちゃいけませんぜ。

1940年代~50年代にかけての社会主義革命後のチェコが舞台で、そこで巻き起こることは、一見、今の私の世界とは、まったく関係ないように見えるはずなのに、ひとつひとつのエピソードが、きりきりと身に迫ってくる。何人かのひとたちの独白によって、小説が構成されているんだけど、どの人にも正義があり、(言い分があり)、それぞれがそれぞれであることしかできない。そして、知らないところでそれぞれが結びついていて。

ものすごく入り組んだ織物を見るようでいて、しかし、その織物自体がとっても美しいのね。読み始めると読み止めることができない感じでひきつけられていってしまって。まるで自分が、革命後の次第に息苦しさをましていく社会主義のチェコに生きているように思えてくる。不思議だ。そして、それが今ととても似ているような気がして。

ということで、眠れなくなり、興奮のあまり書いている。

小説の力って、こういうことをいうんだなあ。すごいなあ。ほんの少しでも近づけるようにしたいなー。