山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

東の街にて。

そんなわけで、夜、東京に戻ってきた。

とても慌ただしいスケジュールだったけど、新しい発見がいっぱいあったなあー…というより、この年になって、初めて知ること、初めて気づくこともあった。自分はしみじみ、世界の一部、ほんのちょっとしか知らないのだ…ということを考えた。

いや、もちろん、自分が知らないことはたくさんあるだろうくらいのことは、ずっと前からわかっていた。政治とか経済とか物理とかいろいろ苦手分野があるし、アニメとか詳しくないし、クラシック音楽も(番組作っているくせに)あまり聞いていない。

が、今、私が「知らなかった~」としみじみ思うことは、そういう未知の分野についてではなく、自分でなんとなく、「わかっている」つもりだったことも、ちっともわかっていなかったってことなのである。

ひとつ。部活について。

自分はクラブ活動…いわゆる部活というものをやったことがなかった。幽霊部員であったことはあるけど、その存在について考えたことすらなかった。今回の取材で、テーマとはまったく関係ないけど、取材した高校生がみんな熱心に部活をやっている…ということを聞いて、初めて、「部活」とはなにか…について考えたのだ。

部活とは人生でかなり大切なもののあり方を教える場所であったのだ。(たぶん)。

以前より部活というものがあるのは知っていたけど、あまり興味を持ったことがなかった。が、ここに意外と人生のからくりがあるというか、青春の秘訣があるというか、はじめて気付きました。

思えば、自分は中1でバトミントン部というのに一応入った。が、3日でクビになった。確か、1日めで遅れていき、2日目で途中で帰り、3日めにさぼったら、クビという通達を受けたように記憶する。
自分も中学に入ってすぐは人並みに部活をやろうとしたのだ。しかも、まったく運動能力がないにもかかわらず、運動系であるところのバトミントン部に入った。(これくらいなら、できるのではないかと考えたのだ)。

が、結局、まったくできなかった。で、その後は適当に文化系のクラブの幽霊部員として、中高の6年間を過ごしました。それらの理由のひとつは、自分はまず、「学校」というのが、とてもキライで苦手であったこと。なぜ、毎日、朝早くから、同じ場所に行かなくてはいけないのか。なぜ、先生のいうことを聞かなくてはいけないのか。なぜ、みんな同じタイムスケジュールで生活しなくてはいけないのか…などなどについて、小学校に入った頃から、深く疑問に思っていた。

小学生当時はそれを言葉にすることができないため、途中で逃げたり、いろいろしたため、問題児として扱われ、閉じ込められたり、暴力沙汰になったりしたけれども、とにかく、基本、学校=苦行と思っていたのだった。(今でも思うけど、一番最初に、なぜ、学校へ行かなくてはいけないか…もしくは行かなくてもいいけど、来たほうがいいかもよ…くらいの説明をしたほうがいいと思う。なんの前提もなく、閉じ込められると、つまづくのに…)

かように学校に不信感を持っていたので、授業に出るだけで精一杯、学校からは一刻も早く去りたいと思っていた。部活に入る…ということはきらいな学校にとどまることを意味したのだった。

部活の意義について書くまえに、前段が長くなっているけど、自分の場合をおさえないと前に進めないので、失礼。

自分にとって学校は、勉強を教えてもらうだけの場所、受験のための準備の場所という認識だった。なので、そこで、勉強以外のことをやる意味がわからなかった。けどさ、きっと違っていたんだなーと。

学校にとって、勉強ってメインの仕事だけど、部活は、余暇であって、その結果によって評価されない、「遊び」の場所だったのだな、たぶん。(実際は知らないんだけど…)。

10代という不安定な時期を同じ「遊び」を共有する仲間と過ごすこと。そこに部活の目的があるのではないかしら。どっかの大会で勝つとかそういう結果を残すことが目的なのではなく、「集まって、楽しんでなんかやることが大切」…もしかして、ものすごく当たり前で、誰でも知っていることを言っているのか。しかし、自分にとっては、新鮮な事実で。

この時期にですね、部活を一生懸命やっていると、余計なこと考えなくてすむ…だろうな。学校が終わったあとの時間を、有意義に健全に過ごせるというわけだ。不良になって街を徘徊したり、勉強だけのひとになったり、恋愛にうつつを抜かしたり…という暇がなくなる。体力も吸い取られる。部活はそういうしくみになっている。よくできているなー。

自分などもその時期、演劇部とか文芸部とかそういうもんをやったら良かったのではないかしら。そしたらもうすこし幸せな10代を過ごせたかなー。

しっかしなー、自分の通っていた中高は部活がまったくほとんど盛んでなかったからなー。近所に遊び場がたくさんあったので、子どもたちは街にまみれていったのでした。

ううむ。人生はやり直せないんだけど、次に生まれたら、部活とかやる健全な10代を過ごしてみたい。10代で人生に絶望して、残りをどうやってやり過ごすかばかり考えるようなことはしないですむように。

10代で部活やらなかったせいで、その後、人生そのものが「部活」っぽくなっているとは言える。仕事なんだか、文芸部や演劇部や映画部みたいなことをして毎日過ごしております。

なんだか。