山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ゆっくり、突然に。

ここ数日で、映画を3本見た。

洋画1本、邦画2本。洋画は、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」という、「マグノリア」の監督の作品。08年にアカデミー主演男優賞や、ベルリンでもなんか賞をとっている作品だ。

しっかし。自分は全然ダメだった。DVDで見たせいなのか、退屈で退屈で。セリフが少なく、淡々と物事が進み、突然事故が起こるけど、それはそれで進み…という感じで、わかりやすい山場がない。しかし、「マグノリア」の監督であるから、奇妙な人物が時々出てきて、奇妙な言動をするんだけど、それにもどうにも、引き込まれなかった。

最近、テレビドラマ(主にアメリカの)を見過ぎているせいか、展開の遅いものや、カット割りの少ないものに退屈しやすい傾向にある。いかん、いかん…とも思うけど、でも、それだけじゃないとも思う。数週間前に見た、「四ヶ月と3週間と2日」なども、ずっとロングショットだったり、説明的なセリフはいっさいなく、激情をもり立てるBGもないというのに、最初、ちょっと戸惑ったけど、その世界のなかに入ってしまえば、自分はヒロインと一緒に、1980年代のルーマニアを生きていた。

だから、絵づくりの問題じゃないよね。

邦画2本は、かなりつらかった。ので、タイトルは書かないでおく。まだ、日本の映像業界にいたいので、いたずらに敵は作りたくないのであった。卑怯かな。どっちも知り合いがいっぱい関係していたので…。でも、嘘で褒めるよりはいいよね。

しみじみ思う。いい映画作るのは難しいね。いや、小説も同じなんだけど。

一昨日、友人が亡くなって、いよいよ死を身近に感じるようになった。それは、もはやいつやってきても不思議はないのだ。映画のようにドラマチックな展開のあとに、ゆるやかな終わりがくるようにはできていない、人生は。ドラマじゃないからね。

身近なひとの死を何回も経験することで、死に対する準備ができていくような気がする。40歳の時、大学の時の友人が亡くなり、たいへんなショックを受けた。自分でもびっくりするくらい。それは、同世代のひとの死に初めて接したからかもしれない。(その前に30歳で自殺した友人がいたんだけど、その時は、「自殺」ということにショックを受けて、「死」そのもののショックとはまた別だったように思う)。

今回の友人の死は、同じようにショックなんだけど、40歳のときとちょっと違う。彼がここ数年闘病をしていたことや、彼自身が自分の病気や運命を受け入れているようなところがあったので、大げさに嘆き悲しむというのはちがう。どこか「死」に対して、近しいもの、を感じるようになっているかもしれない。自分のタイムリミットも近づいている実感もあるけど、なんだろう、言うのが難しいけど、「彼はちょっと早く行ってしまったなあ、でも、自分もそう遠くない将来、そっち行きますよ-」という気持ちがある。

ご家族からしてみたら、「なんでこんなに早く…」という無念があると思うし、本人だってやっぱりそう思っていたかもしれないから、言葉に気をつけないといけないのだけれど。

死を意識するから、もっと一生懸命生きよう……というのとも、ちがう、残念ながら。ひとの死から学ぶ…みたいなことも、ちょっとあさましいような気もする。なにからでも、なにかを得ようとする感じもちょっといやだ。

うまく言えないな。ひとは死ぬのだ。そしてそれは、最悪の結末ではない、ということかな。むずかしい。死はゆっくり、突然来る。

お知らせ
構成・演出を担当しました番組が明日、12月6日(土)からオンエアです。

名曲探偵アマデウス

12月6日(土)午後7時~ NHK ハイビジョン
12月7日(日)午後11時~  NHK BS2

テーマは、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」
出演 筧利夫、黒川芽以、篠井英介、熊川哲也

ぜひ。クリスマスの奇跡に満ちたお話です!