山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

舞台「社会派すけべえ」

今日は、午後から女性雑誌の取材。…取材って、自分が取材される側でやんした。写真も撮っていただいて~。映画がらみの取材でありますが、たのしゅうございました。取材に行く前に、プロのひとにメイクしてもらった。これまでも何度かいろんなところでメイクしてもらっているけど、できばえが全然ちがうので、コワイ。自分は目のまわりに塗られ過ぎると、恐ろしい感じになるので、注意が必要だ。今日のひとは上手だった。

…なんてことは、どうでもよく、女性ファッション誌の取材を楽しく受ける。いろんな話のあとに、読者向けにメッセージとかアドバイスを…みたいなことを言われる。こういうことをよく言われるようになった。それはつまり、自分が年をとったので、後輩の女子に助言を…ってことなんだろうけど、毎度、足踏みする。

だって、基本、自分、何者でもないので。成功しているわけじゃないし。ベストセラー作家でもないし。今の自分の状態は、自分としては、幸せであるけれども、一般的に見て、それほどうらやましいものかどうか怪しいので、私がなにを助言できるというのか。わたしのようになっていいのか。なりたいのか。…いや、けんか売ってるわけじゃない。

とりあえず、思いついたことを語ってしまったが、その後もしばし、「なんて言えば良かったんだろう」と考えた。だってさ、お金持ちの奥さんになって、子供を産んで、趣味と仕事があわさったようなことをして、そういう生活が夢で~す!ってひとにとっては、なんだか、へんなひと、かわいそうなひと…と思われてもしょうがないしな。

自分にとって、小説を書いてそれが本になる、映画を撮る…ってことは、とても重大なことであり、人生のメインテーマであったけど、本を読むひとも減り、映画を見るひとも減り、そのどっちも、よほど売れない限り、お金にもならない…という現代、自分のような状態を目標にするひとは少ないだろう。特に今日取材を受けた、おしゃれ女性誌の読者は、もっと別の夢を抱いているんじゃないだろうか。わからんけど。

けれども、取材してもらえて、映画のことにも触れられてうれしかったし、楽しかった。その後、ひとつ、テレビの打ち合わせに出席。音楽家の方の生ピアノを聞けて、いい時間を過ごした。

しかし、この頃から、風邪を患っていることに気づく。喉が痛くてしようがない。龍角散のど飴をなめ続ける。

お待たせしました。ここでやっと、「毛皮族」の芝居のお話です。思いの外、打ち合わせが早く終わったので、電車に乗って下北沢へ。開演まで時間があったので、「オジヤン・カフェ」なるところで、(注!オヤジカフェじゃありませんよー)、「おじや」を食べる。これがすごいおいしかった。しかも、550円!安!身体があたたまり、風邪も撃退と思ったけど、そうでもなくて、観劇中は、咳がでないように、ずっと龍角散のど飴なめてました。

そんなことはともかく、「毛皮族」初めて見ました。演出の江本純子さんが、劇団「ポツドール」の「愛の渦」に出演されていて、あまりによかったので、「毛皮族」見たいと思っていました。スケジュールがうまくあって、まず、今日、見に行けたことを喜びたい。

毛皮族については、なんの知識もなかった。近年、注目を集めているらしい…くらい。毛皮族というくらいだから、派手でバブリーな感じなのかな…それとも、「性」を描くものなのかな…くらいに思っていた。

観劇した感想をざっくり言えば、にぎやか歌謡ショーの味わいと、ゲイバーの出し物的な要素と、宝塚のエロス版みたいなものがミックスされた、ハイテンションでありながら、案外、人情小話のようでもあり、一見、どろどろしそうな話題を軽く笑い飛ばしている、奇妙な感じは好きだった。女子が意味なく脱ぐ。ニプレスみたいなシールを乳首にはって、上半身裸でおどったり、けんかしたりする。エロイと言えばエロイんだろうけど、いや~なスケベさがない。出演者の女性が、延々マスターベーションするシーンもあるんだけど、これもエロスではなく、笑いに持っていっている。ここらへんは、エロスというものが、変化したのだなと実感した。かつては…日本人のエロって(大きく出たけど…)、陰影礼賛じゃないですが、もっとこう、じめっとした感じ。怨念とかまじっちゃって、子宮で考えるひととかが出てくる感じが多かったけど、そういうものとは、いっさい縁を切ったようだ。
それはとてもとても評価したい。

なんか、まだまだ、「女のエロス!」っていうと、どろりとした、陰惨な感じを演出している世界ってあるからねえ。嫌いだし。

出演の女優たちが、みんなケバイ感じなのもよかったなー。ロングヘアでフルメイクで、ホステス的な服装。わかりやすいセクシーなんだけど、それを戯画化している。もはや、コスプレになっている。セクシーであることをすっかり記号化しているのだ。そこらへんも好きなタイプである。でも、一方で、こういうセクシーコスプレって楽しいんだよなあ、あの時代にちょっと戻りたい気持ちにもなった…(戻れないけどさ…)

しかし、いったい、どこが「社会派」なのか…ってところはあったぞ…笑。

そして、最後は、最近、小劇場の舞台を見るといつも思う、貫くことの潔さであった。おお、自分もしっかりせねば。やりたいことをちゃんとやらねば。小銭稼いでいる場合じゃねーよ。