山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

疲れた心へ。

昨晩より風邪が悪化し、寝たり起きたりの状態。今日の打ち合わせも延期してもらった。

寝床のなかで、仕事の資料を読みつつ、急に思い浮かんだ詩について。…というか、最近、縁あって、ふたたび読み直したので、記憶に残っていたのだ。そして、それが今の気持ちにぴったりで…。

 薄明かりのなかへ

 疲れた時代の、疲れはてた心よ、さあ
 善悪正邪の網目をぬけでて
 ここに来ないか
 この夜明けの光りのなかで
 ふたたび笑わないか、心よ
 朝露のなかで、また
 深い息をしないか

 毒舌中傷の火に焼かれて
 君の希望は消え去り愛はくずれさるとも
 君の母なる故郷は若いのだ、つねに
 朝露は輝き、薄明かりは銀色なのだ

 心よ、ここに来ないか、ここでは
 丘に丘が重なり、神秘の愛にみちて
 陽と月と谷と森と川がお互いに
 いつくしみあっているのだ

 そして神は彼の淋しい角笛を吹き
 時代と時間はひたすら遠く飛びゆき
 ここでは
 薄明かりは愛よりも優しく
 朝露は希望よりも貴重なのだ

  by w.b.イエーツ

 イエーツは敬愛するイギリスの詩人ですが、
彼の詩集「イエーツ全詩集」を、映画のなかの夏樹の本棚に入れたことをご縁に、
出版もとである、北星堂書店さんが、自分の映画の宣伝をしてくれています。hpに大きく載せてくれています。本当にありがたいです。

このhpを見ると、渋い書物が並んでいることにあらためて気づきます。主に英米文学ですが、自分、実はこれで、イギリス文学かなり好きでして…。D.Hロレンスとかワイルドとか、近年だと、イアン・マキュアン、デビッドロッジ、なども好きでありました。

で、イエーツ。
全文、写しました「薄明かりのなかへ」いいでしょー。薄明かりのなかにいる感じ…時代がちがっても、同じ空気を感じます。きっと状況はちがっていたのだろうけれども。

そんなわけで、病を得て、弱っているため、大詩人に看病してもらっているところ。なんて贅沢なんでございましょう。

あと、仕事の縁により、ラベルを聞いております。静かな夜。