山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

何も起こらなくてもいい。

久しぶりに一日、家にいられて、しかも、風邪も治ったので、朝から(と言っても当社比の朝だから、午前11時頃をさす…)、家事をした。

こんな天気のいい日は洗濯しようと思ったのである。ところが、柔軟剤がない!最近はアメリカ製のがいろいろ入ってきているので、いい香りのするものを好んで使っていた。しかし、いつのまにか底をついている。困った、これでは洗濯できない。

ほんの少し前までは、柔軟剤なんていつも使っていたわけじゃなかったのに、一度習慣になるとなかなか戻れない。愚かと言えば愚かだし、それを楽しみと呼べば呼べるし。資本主義の罠…つまり、本当に必要じゃないものも、買わないといけないと思わせて、次々買わせる戦略…にはまっている…と言えば言える。けれども、一方で、この戦略にはまることがすでに楽しみになってしまっている以上、わかっていても抜け出せないものだ。

…というわけで、資本主義はおいといて、買い物へ行った。ゆっくり買い物…これも久しぶり~。柔軟剤とかシャンプーとか石けんとかをまとめ買い。そのあと、食料品のマーケットにも行って、いろいろ買う。帰り道は、荷物が重くて大変であった。

それでも、鼻歌気分で洗濯をし、(新しく買った柔軟剤…ダウニーの花の香りがとてもいい匂い)、シーツとかも洗って、散乱していた本や雑誌も片付けて、家の中が落ち着いた。そのまま、調子に乗って、クリームシチューを作った。バターも小麦粉も足りなかったので、ホワイトソースが少ししかできなくて、さっぱり味になってしまった。それもまたよし。

ああ、こうして、家事をしただけで、日曜日が終わるなー、幸せだなーと思っていて、ふと、高校生の頃のことを思い出した。その頃、自分は校内誌みたいなものを編集していて、そのなかで、とある先生にインタビューを行ったことがあった。たぶん、生物の先生だったと思う。当時、自分は理数系のクラスに属しており、生物とか数学がとても好きだったのだ。

…なんてことはともかく、その先生のインタビューで今でも記憶に残っていることがある。それは、「日曜日、なにをしていますか?」という私の問いに対する答えであった。その先生は、女性で独身、たぶん、40代だったと思う。先生の答えはこうだった。「朝から、掃除や洗濯など、たまっていた家事をします。その後、次の週の授業の準備をする。短い一日はだいたい、それくらいで終わってしまいます…」

こんな内容だった。それを聞いた私はすごくショックを受けたのだ。なぜって、なんてつまらない一日なんだろうって。せっかくのお休みなのに、一日中、家にいて、しかも、掃除と授業の準備なんて、わくわくすることひとつも起こらないで終わるなんて。さびしい、さびしすぎる!…そう思ったのだ。

その頃、自分は16歳か17歳であったから、貴重なお休みには、なにか、わくわくドキドキすることが待っていてほしかったし、家に一日中いるなんて、つまらなすぎる、どっかに出かけて、とびきりの体験をするのだ…といつも思っていたような気がする。「なにも起こらないこと」というのが、ひどくつまらないことだと思っていた。いつもハプニングの起こる、派手な人生に憧れていたのだ。

実際、そういう人生を送れたかどうかは別として、今の年齢になってみると、なにも起こらない一日を、家で家事をして過ごすことが、全然つまらないことではないことがわかる。…というより、お休みの日くらい、家にいたい…と思う。もう、どうしても行きたい場所もないし、ハプニングを求めてもいないなー。

結局、大人になった…ってことなんだけど。けど、若い頃の、「なにか起こらないかな-」っていう気分を忘れないようにしないとね。今、若くして結婚する人を見ると、「なにもそんなに急がなくても…」と思ったりするけど、自分も19歳や二十歳の頃は、「このひとと一生添い遂げる。恋愛はこれ、一度でいい」と思っていたもんなー。ははは。

そんなことをうつらうつら思い出した日曜日でした。

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