山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

犬と長い長い散歩と映画2本



日が暮れかかる頃、犬を連れて、長い散歩に出た。

「長い散歩」とは、基本2時間以上をさす(@当社比)。最近は、寒いので、防寒をしっかりして、ジンジャーミルクティーを入れたポットも持参して出発する。犬は、いつも通りの毛皮だけど。

本日は、16時半頃、出発して、アリスリバーパークに17時頃着。なんとか、日没に間に合った。寒さのせいで、ひとは少なめ。でも、犬連れのひとは結構いる。犬と歩くのは楽しいからね。



暮れかかる公園で撮影した、花。…梅だと思うけど、わからない。

公園の近くの街、広尾はコじゃれた奥様なども多い。公園を出て、ふらふらしてたら、すごい勢いで、チワワ数匹が吠えてた。

小さい犬はよく吠えるなーと関心していたが、チワワの吠え方があまりに激しいので、「吠え先」を見た。すると、そこには、巨大なクマが…。いや、きれいなロシアンセーブルの毛皮を着た女性だった。かなり狼狽しながら、「なんで、吠えるの、わんちゃんたち…」とか仰ってた。チワワたちは絶対、相手をリアル獣と思ったようだ。

うちの犬は、ちゃんと、人間だって認識してたみたいで、スルーしてた。

そんなエキサイティング…でもないか、散歩をして、帰って来た。体調が戻ったのをいいことに、22時から映画を見に行った。「アバター」「かいじゅうたちのいるところ」「抱擁のかけら」のどれにしようかと迷いつつ、並んでいたら、「アバター」満席。「抱擁~」までは、時間がかなりあるので、「かいじゅう~」に決定。

ところが、「かいじゅう~」は、3千円だという。三千円?プレミアシートってやつで、飲み物付きだって。えー飲み物持ってきてるし(ジンジャーティを持参)、しかも、自分、映連入ってるから、普通なら千円のはず…。どうしようかと思ったけど、いいやってことで、「かいじゅう~」を見た。

ううん、いい感じなんだけど、最後まであの世界に入り込めず。かいじゅうたちが、老人にも、犬猫にも見えた。子供が老人の国へ、逃げ込む話はどうかな…とか考える。

見終わって、これで3千円かーと思うとやるせなく、次の回の「アバター」を見ることにした。3Dだけど、1300円なり。

いや~すごい消耗した。敗因、その1,ポップコーンを買って、始まる前に食べてしまったこと。基本的に気持ち悪かった。敗因その2,隣のカップル。始まってから、10分くらいは、女性のほうが、ずっと喋っている。「あれ?なに?」とか、「びっくりしたー」とか。彼氏が時々、注意して「しーっ!」ってやるけど効き目なし。彼女、しゃべり続ける。

しかし、こちらも、強烈な3Dと爆音に気分が悪くなり、隣の席どころではない。自分、基本的に、戦争もの苦手。生き物が殺されるシーン…それが敵でも…続くと気持ち悪くなる。どこかの国で、「アバター」見ている途中で亡くなったひとがいた…というニュースを思い出す。自分もかなり危機的状況。気持ち悪い。

ふと、気づくと、隣のカップルが静かになっている。おしゃべり彼女も戦闘シーンに気持ち悪くなったのか、なんだ、同じ、平和主義者じゃない…と思ったけど、彼女、爆睡中。まあ、しゃべっているよりいいか。このひと、エンドロールまで、寝てた。

いや~ものすごい作品なんだけど、ストーリーの基本ラインは、最初からわかっている…人間=侵略者が結局負けるお話…というか、予想が付くから、映像美を見に来たようなものだけど、その映像美も強烈すぎて、気持ち悪くなる。自分ダメだ、3D,苦手。

前に、スイスの登山鉄道に乗ったとき、空気が薄くなって死にかけたことがあったけど、それを思い出す。アバターとシンクロするために入るお棺のようなカプセルに自分が入れられているような気がしてくる。自分、ものすごくシンクロ率高いので、息苦しくて…。

ジェットコースターに乗っているような感覚(陳腐な表現か…でもかなり近い)は、とても苦手。落ちていく気がして…。三半規管がきっと悪いんだろうな。たぶん、一番の見所のシーンでは、固く目を閉じました。一緒に落ちちゃうから。

具合が悪い話はこれくらいにして、映画の中身。アバターとシンクロするために、装置のなかに入る…という発想は、エヴァンゲリオンみたいだなーって思った。似たような戦闘機も出てくるし。実際、戦争ってもうすぐ、そういうロボットによる、代理戦争になるのかな。

地球軍が滅ぼそうとするナヴィのひとたちは、さんざん言われているだろうけど、西欧人がこれまでの歴史で痛めつけてきた、インディアンやアジアやアフリカの文化を彷彿させる。戦闘機が飛ぶシーンは、まさにベトナム戦争…と言っても、見たわけではなく、映画のなかで描かれてきたベトナム戦争に似ていた。

対抗するナヴィのひとたちは、自然と共存し、エイワなる木の神さま(?)を大事にしているひとたち…ひとじゃないけど。彼らの暮らしは、叡智に満ちている。かつて、人間もそうであったかもしれない、とされる良き原型。

けど、冷静に考えると、彼らの造型のなかに、アジア的、インディアン的、アフリカ的な空気はあるけど、いっさい、イスラム的な空気はない。ナヴィはこれまで、西欧人が侵略し終わったひとたちの総合イメージであって、現在、侵略できていない、…つまり、未だ、敵だと思っているイスラムのイメージは排除されている?

最後は、地球人(=西欧的な侵略者)が、ナヴィの人たち(=アジアやアフリカ、インディアンに共通する自然と共存するひとたち)に負けるお話だから、そこには、どーしても、イスラムのイメージはいれたくなかったのではないだろうか。余裕のハリウッドでは、すでに、侵略しつくした者たちのイメージに花を持たせることはOKでも、いまだ結論の出ていないテーマには触れたくなかった?

3Dの強烈な映像に目を奪われるけど、その背景にある歴史観にもうちょっと注目してもよかったかな。具合悪くてできなかったけど。

ナヴィはひとつの星だから、地球軍、最後には撤退してくれてよかった。これが、同じ地球だとそうもいかなかったんでしょうね。でもって、女性は、地球軍のなかでも、「よきひと」として描かれていた。最後までナヴァのために闘う、かっこいい兵隊のねえちゃんとか、科学者とかね。これまで、弱者とされてきた、あるいは、自分たち(西欧人の男たち)が侵略してきた、女性、第三世界のひとびとに花を持たせるストーリーでした。

けど、自分、基本、戦争もの苦手。たくさんのひとや生き物がじゃんじゃん殺されるのを連続で見せられるのは、気持ち悪くなる。確かに、侵略してくる地球人も悪いけど、結局、「殺し合い」しか解決の方法ってなかったのかな。もちろん、映画的カタルシスのためには、派手な戦闘シーンが必要で、お約束のように、「悪者」は胸に剣を2本も受けて、絶命するし、その他にもとにかく、いっぱい、死ぬ。死、死、死の連続。ひとは結局、そういうシーンを求めているの?それが3Dによって、より臨場感あふれるから、世界中で大ヒットしているの?冷静に考えると、趣味悪くない?そんなに戦争の絵が見たい?そんなに生き物が無駄に死ぬシーンが見たい?それにそんなに興奮するの?

反戦のため、反面教師のため…って理由もあるとは思うけど、けど、真実の闘いはああいうもんじゃないだろうし。気持ち悪かったです。

正直、自分が見たいのは、予告編で見た、サラ・ジェシカパーカーとヒュー・グラントが共演する、夫婦ものとか…そっちがいいです。

やっと、地球に帰って来た…。

ナヴィをナヴァと間違えてたのを、今、直しました。