山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

舞台「甘え」

土曜日に、青山円形劇場で、劇団本谷有希子の「甘え」を見て来ました。

主演は、小池栄子さんです。この小池さんの、女優魂というか、迫真の演技に参りました。ふと、劇団第七病棟の緑まこさんを思い出すほど、狂気じみた表情だとか、動きだとか、これぞ舞台女優という演技でした。小池さんの経歴を知らなければ、小劇場、はえぬきの女優さんだと思うことでしょう。

そして、安藤玉恵さん!

彼女の役柄は、「sexを断れない」「まわされちゃったりする」ちょっとイタイ女子です。それがとってもはまっていて、痛々しくて、よかったです。どこからどうみても、そういうタイプの子にしか見えなくて、せつなくて。

舞台が終わって、楽屋にお邪魔しまして、小池栄子さんとも少し話しました。近くで見るととてもキレイな、そして、小柄な方であります。元気いっぱい、役に全力投入な感じがして、充実しているんだなーと思いました。

そして、安藤玉恵さんとも話しました。安藤さんは、いくつか舞台や映画作品を拝見していて、ファンになり、自分の映画でも、ほんと小さい役だったんですけど、出演してもらっています。なんだか気持ちのいい方です。

「ぴったりの役柄でしたねー」と言ったら、「自分と全然違うタイプなので、役作りが難しかった」と答えが返ってきました。なので、「いやいや、まるで、素に見えた」と言ったところ、「自分、そんな誰とでも寝たりしませんよ~」と言われてしまいした。はっきり言われて、笑いました。失礼しました。

舞台の内容としては、なかなか難しいテーマだったように思います。罪悪感と快楽…みたいなものかな。それは、自分にとっても、大テーマなので、じっくり見て来ました。

安藤さん演じる女子が、それまでは誰から言われてもやってしまうのに、1度だけ、断るんですね。「わー初めて、断ることできた!」って自分で感激するシーン。そこが好きでした。初めて断ったのは、「好きだったヒト」なんですよね。うーせつなし。すっごい前の映画ですが、「恋人たちの時刻」という澤井信一郎監督の映画でも、似たシーンがあるんだよなあ。河合美智子演じる、今でいうところのエンコー女子が、お金をもらって傷つくシーン。

すでに落ちきっているのに、落ちきれていない者が見せる、最後の涙…みたいなものに、自分はとても惹きつけられます。ダメ人間が最後に見せる輝きです。これは、ポツドールの舞台「裏切りの街」の感想の時にも書いたけど、「そんなことまでしているくせに、ここで泣くのか」って感じ。

中原中也的に言えば、汚れちまった悲しみってことになるのでしょうけれども。キレイで清潔なひとの悲しみよりも、汚れきったひとが溺れる悲しみのほうが、悲しいと思うのはなぜかな。