山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「黒い眼のオペラ」

昨晩は、DVDにて、台湾が誇る名匠、ツアイミンリャン(ツアイという漢字がでないのでカタカナで失礼)監督の「黒い眼のオペラ」を見ました。

この監督の「愛情万歳」と「青春神話」がとても好きです。特に「愛情万歳」のラストシーンには深く感動いたしました。もう、15年近く前の作品ですね。

で、久しぶりにツアイ監督の作品を見ました。時間を経るごとに難解になっていっているようで、ちょっと離れておりました。

そして、この作品もかなり挑戦的です。冒頭、体の不自由な少年がオペラの聞こえる部屋でひたすら寝ているシーンがかなり長く続きます。測っていないですけど、「どうしたんだろう」って不思議に思うくらい長く。

その後も、説明的なセリフはいっさいなく、台北(だと思うけど、確証がない)に暮らす、外国人労働者(不法滞在なのかもしれない…けど、これもいっさい、説明なし)たちの暮らしぶりが漠然と延々と描かれます。誰が主人公ななのかすら、はっきりわからないです。

ひとりの外国人らしき青年が暴力を振るわれたせいなのか、病気なのかとにかく倒れる。それを別の外国人が助けて、廃墟のようなビルで一緒に暮らし始める。同じビルには、他にも不法滞在風のひとびとが暮らしている。

一方、冒頭の寝たきりの少年を看病する中年女性がいる。この部屋の上には、若い女子が暮らしている。彼女たちは雀荘みたいな食堂みたいな店で働いている。どの暮らしも希望のなさそうな、どんよりした日々である。ひたすら、その「救いのない」感じが描かれていく。

しかし、どうやら、それぞれの抱える「さびしさ」みたいなものを埋めるものをそれぞれが求め、ひとつの回答が「一緒に寝る」「世話をする」ってことらしいことが伝わってくる。

サブタイトルが、「ひとりで寝るはイヤだ…」みたいなものだった。

しかしなー難解すぎる展開で、その心は、「ひとりで寝るのはさびしいよ」っていうのはどうなんだろう。ひとつの詩のようであり、イメージのようであり、映像は示唆的で美しいのだけど、2時間見続けるのには、集中力が必要だった。映画館の暗闇ならもっと集中できたかもしれない。

強烈で不思議な映画。こんな思い切った作品、なかなか撮れるものではないだろう。

ううむ。