山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「ガールフレンドエクスペリエンス」

昨日見た、映画「ガールフレンドエクスペリエンス」の感想です。

毎度のことですが、ネタばれとか気にしてません。そもそも、ネタばれしたら、見たくない…という感覚が自分にはあまりないもんで、すみません。逆に詳しく聞けば聞くほど、関心を持つし、自分だったら、どう解釈するだろうって思うので、気にしないのかもしれません。

それに、ネタばれってなに?って気がします。映画もテレビも小説も、「ネタ」じゃない。例え、犯人がわかっていても、楽しめるはずだし、なにかひとつの答え(=ネタ?)のための全部じゃないと思いたいです。

あ、偉そうでしたか、すみません。

ということで、元・撮影監督(つまり、カメラ担当)だったソダーバーグの監督作です。なんというか、タイトルとあらすじに惹かれて見にいきました。ソダーバーグってタイトルつけるのうまいと思いませんか。「セックスと嘘とビデオテープ」ですよ。タイトルうまいひといいなー。で、ガールフレンドエクスペリエンス!

ガールフレンドエクスペリエンスって、ガールフレンド体験?なにそれ?って気持ちになりませんか?なります。なんだかわからないけど、見たくなります。…あれ、わたしだけ?

あらすじはですね、ニューヨークの高級コールガールのお話です。主人公の女性は、20歳くらいで(年齢を明らかにするシーンがあったかどうか自信がないです。でも、それくらいの若さ)、ウエブサイトで「エスコートサービス」というのをやっています。具体的な値段は出てこなかったですが、たぶん、かなり高いようです。そのためお客さんも、リッチなひとびとです。

主人公のチェルシーさん(って名前だったと思います)は、美貌と知性(たぶん?)を併せ持った女性。お客の男性と映画を見たり、高級なレストランで食事をしたり、会話を楽しんだあと、ホテルなどで、セックスをします。服もブランドもの、下着もペルラなどをつけていきます。そのようにして、彼女は仕事を続けているわけです。

彼女には同棲中の彼氏がいて、彼は、ハンサムで鍛え上げられた体をもつ、ジムのインストラクターです。彼女が、エスコートサービスで働いていることも知っており、多少気に留めながらも、とりあえずうまくいっているようです。

映画は延々、彼女の暮らしを描いていきます。元・撮影監督ですから、映像がかなり凝っています。非常に美しいカットがいくつも出てきます。しかし、自分は、映像の美しさより、その伝えるところに反応してしまうので、映像ショーみたいなものが続くと、驚きつつ、感心はしつつも、ちょっと飽きてしまいました。正直なところ。

なんというか、テーマはわかりました。つまり、売春といえば、ひと昔前は、「お金のために、泣く泣く体を売る」のが定番であったのに、そうではなく、いや相変わらず、お金のためではあるのだけど、それが、そのお金がないと生きていけないという貧困ではなく、「割りのいいバイトだからする」程度の意識であり、売春することに罪悪感や嫌悪感がなく、むしろ、ビジネスとして楽しんでいる…そんな女性がいるんだよ!ってお話です。

そうです、アレです。日本でも一世を風靡しました、援助交際のようなものです。それにとても近いです。ニューヨークでもあったんですねー、エンコー。

で、やっぱり、その様子は、多くのひとの関心を惹きつけるから映画になったんだろうなー。

で、感想からいうと、よくわからなかったです。わからなかったというか、ううむ、なんだろう、共感できるところがあまりなかったってことと、彼女のようなひと、実は今も昔もたくさんいて、だからどーなの?って気分になるんですよね。

恋愛に執着がなく、自分の価値をよく知っていて、その価値とは体と美貌と若さであり、だからそれを売ってお金を得る……っていう女性。別にめずらしくもなんともない。プロとして、愛人生活を選ぶひとや、ある種の水商売の女性には普通のことだと思う。

もし、そこに葛藤があったら、わたしは興味を持つんですが、葛藤も罪悪感も喜びも恐れもないなら、それはそれでいいじゃないか…って思ってしまう。

彼女の生活をスタイリッシュに描くことで、「罪悪感なく売春しちゃう彼女」にある種の憧れを抱く…という手法はわからなくないけど、それは、そういった女性を好むある種の男性の趣味の産物のように思えました。

いや、まだ、アメリカでも、「貧困以外の理由で売春する女性」は珍しく、画期的であり、その生態を知らせるだけでも、映画として意味があるってことなのかなあ。ここまで来たよ、女性たちは…って意味で?

ひとつだけ気になったのは、彼女はなにがしたいんだろうってことでした。お金が欲しいの?なんのために?先々はどうするつもりなの?全然投げやりじゃないんですよね、彼女。むしろ前向き。前向きな売春婦。そして、顧客確保にわりと真剣。別の女性にお客をとられてショックを受けたり、約束していた客が罪悪感にとらわれてキャンセルされたりすると、傷ついた表情を見せます。

それは、ビジネスとしての傷なのか、プライドなのか、ほのかな愛情なのか、わからない。でも、一貫してなんのために?って思ってしまった。

いや、自分なども描いてきた、愛つうもんがわからんのですよ…って話なんだけど。

すみません、まとめきれませんでした。ニューヨーク版エンコー物語。ううむ、自分もこういうの真っ向から描くべきなんだろうか…。