山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

カリスマ主婦のゆくえ

ちょっとワイドショーネタです。

雑誌「STORY」などで知られるモデルの冨田リカさん(48歳)が、ショーケンこと萩原健一さん(60歳)と交際中とのことで、それが結構話題になっている。

自分も興味をひかれた者のひとりです。

まず、前から、「カリスマ主婦」ってなんじゃろ…って思っていました。ファッションを中心とする女性雑誌には、さまざまなカリスマ読者って方たちが登場して、普段の暮らしやきれいな服やファッションアイテムを紹介していたんだけど、大学生やOLだった場合はともかく、「主婦」だった場合、その着地点はどこなんだろうって思っていたわけです。

主婦って、結婚して、仕事を持っていない女性のこと…と理解して、考えております。

たとえば、学生やOL…ようするにシングルであった場合、その美貌や暮らしぶりを生かした仕事なり、恋愛なりが控えているので、「美しい外見と暮らし」を実践することは未来があるように思えるけど、それが主婦だった場合、その情熱はどこへむけられ、どこへ着地するのだろうかと不思議だったのだ。

主婦であっても、毎日すてきな服を着て、メイクもして、インテリアを自分好みにしつらえる。時間のあるときは、女友達とランチしたり、時に男友達とのみに行ったりするのは、普通にアリだとは思うけれども、その「美しい暮らし」は、どこかに限界があるのではないか…と。

だって、主婦である以上、男友達と真剣交際するわけにはいかないだろうし(一応、建前上は)、さらに、お金だって、夫が稼いだものだから、そうそう、好き勝手に使えないのではないか…と思うわけです。

もちろん、大富豪の夫人であれば、話は別でしょうけれども、そんなひとはめったに存在しないし…。

一般的、あるいは、中流よりはやや裕福な家庭の主婦を想像すると、「主婦」というある枠組みのなかでの、おしゃれや友達つきあい…ということになり、それを楽しむのはすばらしいこととはいえ、限界あるでしょう。

たとえば、ブランドものの服だって、中村うさぎさんみたいに、好き勝手に買えないだろうし、買ったところで、普通の主婦がブランド物を着てでかける機会ってそんなにあるのだろうか。また、男友達とつきあうにしろ、表面的には一線は越えられないだろうし、いや、超えてないふりをしないといけないだろうから、どっかこう、不自由な感じがしていた。

自由に楽しんでいるようでいて、ちょっとうそっぽいというか、ごまかしている部分があるんじゃないかなーって。

カリスマ主婦モデルが、エステで体に磨きをかけ、きれいな服を着て、どこへ行くかというと、「夫とデート」なんて記事があったりする。夫婦でもいつまでも、恋人みたいでいたいから…的なコメントがついていたりして…。

正直、「うそくせー」と思っていた。もちろん、そのような恋人のような夫婦が存在することは知っているし、それは美しいことだとは思いつつ、20代、30代のカップルならともかく、20年近く一緒に暮らした男女だと、形としてはデートできるけど、そんなにすごくわくわく、緊張したりはしないだろう。

で、冨田リカさんなわけである。彼女くらい美しいと、結局のところ、主婦として、夫=ひとりの男の元に収まっているのに飽きてくるのは仕方ないのではないか。せっかくの美貌をもっと新鮮な相手からほめてもらいたくなるのではないか。まあ、それを恋と呼ぶのかもしれない。

今週号の「女性セブン」によると、冨田さんは離婚は二回目で、一度目の結婚のときに、お子さんもいらしたようだが、親権は父親が持っているそう。再婚後も、夫のほかに、交際していた男性もいたそうで、主婦といっても、結構、恋多き女性だったらしい。

そこらへんは、「主婦モデル」としてファッション誌に登場していたときは、(当然かもしれないけど)、あまり語られてはいなかった。あくまで、普通の主婦のように描かれていた。

で、わたしの関心は、冨田リカさんご本人というより、冨田さんのような「カリスマ主婦」にあこがれている女性に対してである。主婦だけど、おしゃれもして、男友達とデートもする…みたいな生き方に憧れ、実践していた女性たちは、今回の離婚→ショーケン=芸能人との恋愛をどう見るんだろう。

だって、「カリスマ主婦」の上がりとは、「キレイになって、主婦ならではの仕事を見つけ、自立して、離婚して、芸能人(もしくは憧れの男性)との恋愛!!」に見えるから。

確か、黒田チエコ(漢字、忘却)さんというモデルさんも離婚したよなー。

そうだとすると、ひとりの男と婚姻関係にあることで得られていた「主婦」という立場が、その頂点では、いらなくなる…つまり離婚…という矛盾をはらんでしまわないだろうか。

最高の主婦になることは、主婦でなくなることを目指してしまう…ってことにならないのかしら。

その場合、読者の女性たちは、「できれば、わたしも!」って思うのかなあ。それとも、「そこまでは、だめ」って思うのか。あるいは、「あこがれるけど、自分には無理」って思うのか。あるいは、「ああなったら、主婦じゃないから、嫌い」って思うのか。

そのときに、自分のなかにすくっていた、「美しい主婦」という幻が、試練に立たされるように思う。家庭という限定された箱庭にのなかで、小さな喜びを実現する限界。そこにつきまとってしまう嘘。

それとも、みんな、結構、結婚してても愛人を持って、それなりに遊んでしまっているのかしら。離婚して、別のひと…ってところまではいかないけど、ばれない程度にやっとこう…って感じなのか?

よくわからないなりに、非常に興味深く、面白いなーと思った次第です。

前から、主婦なのに、きれいになりたがる人を見ると、「なんのために?」って正直、不思議だったんですよー。

きれいになるのは、よき男を捕まえるための武器なんだと思っていたから。ところが、最近は、そうでもなくて、きれいでいることそのもののほうが、恋愛より大事らしいとも聞き、共感できなかった。

でも、結局、キレイになったカリスマ主婦は離婚するのだーこれなら、理解できる。

自分、昔の人間なんでしょうか…笑。