山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「ソーシャル・ネットワーク」

やっと、映画「ソーシャル・ネットワーク」を見た。

ツイッターの広告のページに「今世紀最大の傑作」って何度もでているし、ゴールデングローブ賞4部門もとってしまっているし、「ファイト・クラブ」(大好き!)のデビット・フィンチャー監督だし…そもそも、facebookに興味あるし…見なきゃ…と思ってました。

で、六本木で21時45分からの回を鑑賞。

いや、面白かったです。これって、facebookとはなにかって話ではなくて、facebokを作った、マーク・ザッカーバーグのこれまでの人生を描いたもの。その意味では、「まったく新しいタイプの映画」とかそういうものではない。

facebookというソフト(というか、ツールというかインターネット上に乗せる個人のプロフィールみたいなもの…)は、新しいものだし、それを作ったマーク・ザッカーバーグ自身も、これまでにないタイプの成功者なんだけど、映画自体は、彼が、facebookを手がけて、大成功するまでの、いろんな出来事を見せていく…というシンプルな物語です。

でも、IT業界を舞台にしているせいか、展開が早いし、主人公のキャラクターが今っぽいし、新鮮ではありました。

それと、やっぱりこれが、つい最近の出来事であるってところが、なんとも惹きつけられる部分ではあります。これが、全くのフィクションだったら、それほど面白いって思わないと思う。主人公は魅力的とはいいがたい人物だし、(性格も外見も)、事件そのものも、それほどドラマチックでもない。

それでも、この映画に惹きつけられてしまうのが、「だいたい真実」で「つい最近起こったこと」なおかつ、「今も進行していること」だからだ。

いってみれば、ワイドショーの再現ドラマのようなものなんだけど、そこは、ハリウッドだし、デビッド・フィンチャーですもの、単なる再現ドラマではない。

あるいはドキュメンタリーに近いかもしれない。

なぜなら、フィクションならやりがちな「感動的なシーン」がほとんどないから。ハリウッド映画だと、主人公は映画のなかで、成長するものだけど、私の見る限り、「ソーシャル・ネットワーク」の創始者は、人間的成長はしていない。資産は莫大になったけど…。

そのリアルな感じがとても良かった。

映画に「感動」や「涙」を強く求める人には好まれない作品なんじゃないかな。ゴールデングローブ賞4部門とって日にちがそんなにたってないのに、私の見た回は、けっこうすいてました。(夜だからか?)

映画の内容についてもう少し。

主人公のザッカーバーグは、ハーバード大学の学生で、天才的なプログラマー(っていう言い方でいいのか)だけど、身なりも外見もぱっとしない。いわゆるおたく。

おたくにふさわしく、女子の集まるパーティーなどとは無縁で、ひたすら、パソコンの前に座って、なにかを作っている。

友達もあまりいないんだけど、結局、彼は、パソコンの前に座っているのが一番好きなんだなーってことと、自分の作り出したfacebookをとても愛しているんだなーってことはよく伝わって来た。

この映画の感想をツイッターとかで読んでいると、「大金持ちだけど、友達はいなかったんだ」とか「友達を裏切るひどいやつ」というとらえ方もあるようだけど、主人公は、友達なんて、必要としてなかったんだなって思う。

facebookを作るのに、「人手」が必要ではあったけど、それが「友達」である必要もなかったんじゃないか。こう書くと、「友達を人手と考える」なんてひどい、という見方もあるかもしれないけど、それはそれでいいんじゃないかーと思う。

友達の必要じゃないひとだって、いるってことだよね。そして、彼のような天才タイプは、なかなか人と分かちあえないだろうか、友達も作りにくいんだろうし。

けど、皮肉なのは、彼の作ったfacebookとは、人と人をあらたにつなぐツールだってこと。自分はそんなに人とつながりたくないのに、つながるツールを作る…なんてね。

でも、恋愛をあまりしていないひとのほうが、情熱的な恋愛モノを書けるように、案外そういうものかもしれない。

いずれにしても、瞬時も退屈させない、疾走ムービーだった。

facebookのデザインと同じように、クールだったなあ。