山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

年をとってよかったこと

今日は超久しぶりに休みだったー!

なので、ちょっと思いついたことを書いてみる。

正直に言うと、年をとってよかったことなんて、ほとんどない。

中高年向きの雑誌に、「これから先がますます面白い」というキャッチコピーがついているのを見て、「嘘つけ!」と思ったほどだ。

このようなコピーも、実はこれから先は大して面白くない…という現実があるからこそ、わざと言っているのだろう。

テイーンズ向けの雑誌に、「今が一番いい年代」とわざわざうたつ必要がないように、たいていのコピーには、「こうだったら、どんなにいいだろう」という願望が織り込まれている…と思う。

で。現実。

体力は落ちるし、無駄に太るし、内面よりも外見の劣化は厳しいものがある。内面も劣化しているのかもしれないけど、それを評価する基軸も劣化しているので、よくわからないのだ。

前置きが長くなった。

じゃ、そんなにちっともいいことのない、年をとることだけど、いいことも少しはある。

大きなものとしては、いろんな人生の結末が見えるってことかなあ。自分も含めて。

高校生のころ、絶世の美少女だった友だちが、その後どんな人生を歩んだか…とか、友だちじゃなくても、80年代を席巻したセゾングループの衰退とか、自民党の敗北とか、タレントや俳優の末路とか…、長いスパンで見ないとわからないことの結末を見ることができるよね。

ちょっと趣味の悪い話だけど、でも、興味深い。

80年代に青春を過ごした自分としては、文化の担い手であった、セゾングループには随分影響を受けたし、お世話にもなった。それが今はほとんど影もかたちもない。

おっと、この流れで思い出したのは、60年代末から70年代初めにかけての学生運動。

7月9日に上野千鶴子さんの講演会に行って、その時、上野さんにインタビューをした。上野さんが、フェミニズム(当時はウーマンリブ)に目覚めたのは、学生運動のさなかだったという。

京大のバリケードのなかで、同じ運動をしている仲間のなかにある男女差別から、覚醒していった…と語っていた。(この詳細は、後日、出版されるDVD BOOKに詳しいのでお楽しみに!)

で、学生運動というのは、みなさんもご承知のようにその後挫折していく。一部は過激派になり、浅間山荘はじめ、死者を出すほどの事件になる。運動はなにも残せなかったように見える。

が。

確実に、そこから生まれたウーマンリブはフェミニズムになり、女性学になり、大学で研究される「学問」にまで成長した。

誰が、そんな未来を予想した?

日本は革命は起こせなかったけど、深く静かに広まったフェミニズムは、いろんなかたちを変えて、女のひとが生きていきやすい世界に少しずつ変えた。

もちろん、今も、不具合はいっぱいあると思うけど、50年前に比べたら、女性はなんと自由になったことか。

このような長い歴史的スパンで物事を見ることができるのが、年をとって一番面白いことだ。

10年くらいじゃー、ちっともわからないことが一杯ある。今、隆盛を誇ったものがどうなっていくか…それを見るのは、やっぱり、たとえようもなく面白い。

小さくは、友人の人生であり、自分の人生の展開であり、広くは世界の変わりよう。

だって、50年前は黒人がアメリカの大統領になるなんて、誰も想像できなかったよね。

あ、原発の事故でこんなことになることも含めて。

そういう風に思うと、長く生きるのは面白い。

あとは…正直、ない。ゼロ。いいことなんてないぜー。あー知り合いが増えることかな。

今日はほとんど寝ていて、夜、近所で友人がロケをやっていたので見学に行った。

大好きな俳優さんがでていたので、撮影後ちょっとお話する。相変わらず、かっよかったー。

その後、夜ご飯を食べていたら、今度は、別の女優さんに偶然会う。なんて奇遇。

昨日まで自分の映画に出演した俳優のドキュメンタリーを作って、編集が終わった途端に、共演者2名と会うなんて…。

運命を信じないたちだけど、ちょっと信じたくなる日であった。