山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

もし、美人だったら…。

上野千鶴子先生から本を頂戴した。

(先生と呼ぶと叱られるのですが、今回は「身の下相談」の先生という意味で呼ばせていただきます)。



朝日新聞に掲載されいてた、「悩みのるつぼ」の書籍化であります。

新聞掲載時に時々読んでいたのですが、こうして一冊の本となり、その目次を見ているだけで、相談内容の「身の下」ぶりとそのあられのなさにまず驚かされます。

「性欲が強くて勉強できません」という18歳の女子(浪人中)とか、「妻のカラダに触れたいのに」という66歳の無職男性とか、「25歳、モテたくて不安です」という女性など。

天下の朝日新聞にみなさん、ずいぶんなことを聞いてこられる。

が、あとがきにあるように、「人生のお悩みの多くは身の下から来ます」…確かにそうかもしれません。

そして、このような問いに上野先生、スッパスッパと切れ味よろしく応えていらっしゃいます。

なかでも話題になったのは、「性欲が強すぎて困ります」という中学生男子への答え。

いろいろアドバイスしたのち、年上の女性にいっそお願いしなさい、とある。ひゃー。

これは当時かなり話題になったんです、というか賛否両論だったような。

ちょうどその頃、上野先生にお会いする機会がありましたが、ひょうひょうとされてました。ブレない。

そうじゃないと、フェミニストはってられないですよね、さすが。

このほか、気になった質問に、「母が嫌いです」や「婚外恋愛はごまかし言葉」などじっくり答えを読みたいものも…。

そして、ラストは「もし、上野さんが美人だったら…」という60歳の女性からの質問です。

わー、こういうことを聞いてこられる人がいらっしゃるんですねー。

しかも、この方、自分は「きれい」という部類にはいっていて、若い頃ちやほやされたと…。

なんだかなー。

上野さんが美人だったらフェミニズムにはまっただろうか…という質問なんです。

これ、結構、男性目線ですよね。男にもてないからフェミニズムに行った…みたいな。

けど、上野さんも書いてるように、フェミニストって美人多いです。なぜなら、美人のほうが、男性からちやほやされる反面、ひどい目に合う確率も高いからです。

ロリ顔の友人は若い頃、ひどいストーカー行為に悩んでいたし、物販を生業とするモデルレベルの美女は、品物を売っているのに、自分に値段をつけられる…と、いつも悩んでおりました。

なので、美人は美人なりに男性に不信感を持ち、フェミニズムに目覚めていく場合も多いと思う。

この質問者は、「そうね、美人だったらフェミニストにはならなかったわ」って言ってほしかったのかなあ。

それくらい、その人にとっては「美人であること」が大きかったのではないかしら。

この世には美人であることを利用しつくして生きる場合と、美人であることはアイテムのひとつくらいにしか考えないひとがいる。

前者は案外厳しい。芸能界見ていても、美人だけじゃなかなか生き延びられないですもの。

しかし、自分はどうかな。もし、絶世の美女に生まれていたら、今と違った人生だったでしょうか。

そりゃ、いろいろ違ったろうけど、そんなもん、考えてもしゃーない気がしてきました。

もし、犬だったら…みたいなことと同じ質問だ。

というわけで、楽しく、時にヒヤッとしながら読みました。