山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

みんな同じ小さな世界の住人

いよいよ公開が近づいてきました。

試写に行ったり、宣伝活動をしたりの、心騒がしい日々です。

そんななか、はまっているのが、NETFLEXのオリジナルドラマ「Orange is the new black」。

タイトルだけではなんの話かわかりにくいですが、そして、なぜ、そういうタイトルか、実際見ていてもわからないですが、これ、女子刑務所が舞台です。アメリカの。

恋人にだまされて、麻薬の運び屋をやってしまった、ごく普通の女性が主人公。

刑務所に入れられて、そこでの体験がつづられていくわけですが、はじめは、自分とは関わりのない世界、特殊な世界のお話しだと思って見ていました。

だって、全員犯罪者ですよ。

殺人犯や薬物中毒や、かっとなって暴力を振るった女性達がわんさか出てくる。

しかも、アメリカですから、いろんな人種が出てきます。

知らない世界をのぞき見ている面白さで見ていましたが、ずっと見ていると、そこが特別な場所ではないことに気づきます。

刑務所という小さな世界を描いているんですが、それは、世間とか、ひとが属するひとつの社会と似ているんですね。

その小さな社会のなかで、どうやったら、平和で楽しく暮らせるか。

いじめられずに、でも、生活の質を改善させていくか。

その社会(刑務所)のなかには、やる気の全然ない人もいれば、努力する人もいるし、意地悪で最低な看守もいれば、助けてくれる看守もいる。

その世界のなかで、自分のポジションを考えるしかない。

これって、刑務所のなかでも、一般社会でも同じだなあと思いました。

だからこそ、面白いって感じるんですよね。

よくできたドラマは、一見、特別な社会を描いているようで、どんなひとにも共感できるようにできている。

その狭い世界で友達を探し、生きる喜びを見つける。

はっとしました。

時々、自分の状態を嘆くことがありますが、自分のいる世界は小さな世界にすぎないこと。

刑務所の外にも世界が広がっているのと同じように、私のいる場所の外にも世界は広がっているのだと。

ここがすべてだと思いこまなくていい。

ここのルールが絶対だと思い込まなくていい。

どこにも「外」はある。

そういうことを感じながら、見ています。

(もちろん、内容はぶっとびですっごい面白くて、ここに書いたような説教くささは0であります)

つけたすと、
私のいる世界は、「映画業界」であったり、「テレビ業界」だったりします。

時々、出版業界へも脚を踏み入れます。

で、そこのルールやメンバーと関わっていく。

そこには希望もあるけど、傷つくこともあるわけです。

でもさ、「外」がある。

その世界だけがすべてじゃない。

そういうことに気づこう、と思うのでした。

(あ、今は割と楽しくやっています。今いる世界で)