山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

モニターを越えて。

作家の角田光代さんが取材されていたので、TBSの情熱大陸を見る。
(知り合いの会社の制作だったし)
著作はいろいろ読んでいたし、その人柄についても、過去にテレビで取材した知人から聞いてはいた。
とても清楚で暖かい感じのひとだと。

評判通りのかわいらしい方だった。
話すのが苦手で・・と番組のなかで言っていたが、自分の思いを真摯に伝えようとする姿がとても素敵だった。ひとつひとつの言葉をていねいに発しているように見えた。

なんだか、心が洗われてしまった。

私もこの手のドキュメンタリーをたくさん作ってきた。
仕事である以上、取材対象者が必ずしも、自分の興味のあるひとであるとは限らない。
興味がなくても、調べて取材して、そのひとの魅力を引き出し、視聴者に伝えなくてはいけないのだ。

もちろん、はなから苦手なひとやまったく感心できない場合は、引き受けなかった。心のなかで軽蔑しているひとを取材して番組に作り上げることができるほど、私は仕事にクールにはなれなかったから。

一方で、自分が興味をもったひと、また、取材途中で強くひかれたひとというのは、自然と番組の出来が変わってくるものである。
(少なくとも私の場合はそうだった)

自分が会って感じたそのひとのいい面をなるべくたくさん、テレビの前のひとにも伝えたいと思うようになる。

私も一応テレビのプロ(って言っていいかな)だから、番組を見るとわかる。
その番組を作ったディレクターが取材対象者に抱く思いが。
カメラに愛情があるかどうかが。

その意味でも今夜の「情熱大陸」からは制作者の愛情が伝わってきた。
彼女の良さをできるだけ映そうという心意気が見えた。
テレビは正直にそういう部分をも映し出してしまうのだ。

なんだか嬉しくなってしまった。
気持ちのいい、春の気配のする夜だった。