三浦大輔さん演出の舞台「ハザカイキ」を見てきました。
主演が旧・関ジャニ8の丸山隆平さんとあって、会場は若い女性であふれてました。
主人公は週刊誌の記者。
芸能人のゴシップ記事を書いたり、密会写真を撮ったりする仕事です。
ターゲットは国民的アイドル(女子)。彼女の熱愛をスクープしようと張り付きます。
アイドルの実情、記者の生活などがそれぞれの立場で描かれていき、誰もがこの生きづらい世界で、なんとか折り合いをつけてやっていることが見えてきます。
芸能記者にも彼自身の生活があって、彼女や親友との微妙な関係が見えてくる。
なかでも親友との関係がのちに思わぬ展開を見せるので、興味深かったです。
親友を演じた勝地涼さんの演技が絶妙で、心揺らされました。
笑顔と冗談で、心の痛みをはぐらかすというか、はぐらかすしかない、ギリギリの状態が切なかった。
それをわかった上で、親友としてつきあい続ける主人公のずるさもわかる一方で、ずるさではなく優しさかな、と思ったり。
このあたりの性にまつわる機微を描くのはさすが三浦大輔さんだと思いました。
そして、圧巻はラスト近くのアイドルの謝罪会見。
これはもう、アイドルを演じた恒松祐里さんの度胸と演技力に圧倒されます。
いったい、いつのまに、こんなに恐ろしい社会になってしまったんだろうと思いました。
彼女にそんなことをさせているのは誰なんだろう。
(もちろん、彼女の意志で行っているんですが)
そこまでする必要があるのか、誰か止めることはできないのか。
自分もメディアで働いていますが、取材することの重さについてあらためて、考えてしまいました。
もはや、誰もがいつでもターゲットになる社会。
それはいったい、誰を幸せにして、誰が望んだことだったのか。
苦い思いをかみしめて、劇場を出ました。