連休中ですが、ひっそり自宅にて、録画してあった映画を…。
マリリン・モンローについては、特別な思い入れも興味もなかったのですが、2011年にハリウッドのリー・ストラスバーグ映像・演劇学校を取材してから、関心を持つようになりました。
リーストラスバーグは、かのアクターズスタジオの芸術監督だった、俳優であり、演出家だったわけですが、彼の教え子はハリウッド映画の大スターがたくさんいるんですね。
古くはジェームス・ディーンから、アルパチーノ、ロバートデニーロ、私の好きなミッキー・ロークとか、若手女優では、スカーレット・ヨハンソンやアンジェリーナ・ジョリーなどもこの学校の卒業生。
で、マリリンモンローもリーの教え子だったそうで。
コレに関してはいろんな噂もあるのですが、まあ、そこは秘密として。
以来、マリリンモンローにも興味を持つようになり、彼女関連のドキュメンタリーも見始め、その延長線上で何気なくこの映画を見ました。
原題は、「My week with Marilyn」で、ローレンス・オリヴィエが監督主演をする「王子と踊り子」という映画にマリリンモンローが出演、その時のサード助監督を務めた人物の手記が原作の作品です。
いわゆる真実の物語…というわけで、最近、事実に根ざした映画を作ろうとしているので、それもあって見ました。
いやあ、良かったなー。いろんな意味で。
ひとつは、世紀の大女優の悲しみとか不安定さを見るって意味で。美人でセクシーで成功してても不幸っていうのが、とってもリアルで。
もうひとつは、映画業界というのをうまく描いているという意味で。ローレンス・オリビエという大俳優の老いへの痛みや演技への思いや、マリリンへ寄せる思いなどが過不足なく描かれている。
そして、サード助監督(助監督は、ファースト、セカンド、サード、時にフォースまでありますが、サードはようするに一番下っ端の助監督です)の立場というのも、切なくて。
そしてさらに、ローレンス・オリビエがリーストラスバーグの信奉する演技法「メソッド」を毛嫌いする理由もちょっとわかったようで。
その視点でみても、充分面白かった。演技の作り方がオリビエとメソッド派では全然ちがうから。それをちょっと皮肉に描いててあった。
幕の内弁当みたいにあらゆる具が入っていて、それがひとつひとつ手が込んでいて、美味しい…みたいな映画だった。
マリリンモンローってひとは、本当にたいへんな、「マリリンモンロー」を演じ続けないといけなかった、かわいそうなひとだったんだなーとあらためて思いました。
今はさすがにここまで幻想を演じ続けないといけない女優さんはいない。
それはひとつには、映画にしろテレビにしろ、映像作品というものの力が当時より弱くなっているってことと、やっぱり女性がかつてより、「リアル」に生きていけるようになったからでしょう。
今の女優さんはもっとずっとたくましくなったし、そんな風に誰かの(言ってしまえば男性たちの)幻想を演じる必要がないから。
マリリンをみんなが食い物にする感じ…とても切ない。けど、彼女もそこにのって、それを使ってスターの座につこうとしたわけだから、一概に痛々しい、一方的な被害者の物語でもない。
そこらへんの案配が誰を犯人にするわけでもなく、大げさにならずに描かれていて良かった。
同じようなテーマのものだと、ビリー・ワイルダーの「悲愁」がある。こちらは大女優と彼女を取材した記者の短い恋物語がベースにあり、その後が出てくる。もっとミステリーたっちだし、描き出そうとしているものは違うかもしれないけど、「大女優」と「無名の若い業界人」が短い恋をする…その後、その男がかつての恋を描く…あるいは告白する…という形式は似ている。
大俳優と若い無名の業界人女子、だとあんまりロマンチックな感じがしないのはなぜだろう。
ありすぎる設定だし、ロマンスというよりセクハラ(!)に近いからかしら。
けど、これからはセクハラじゃなくて、「その後」を描ける作品が出てきても面白いかも。
サードの助監督だった女子が、大俳優と短い恋をして、その何年後か、助監督だった女子は、監督かプロデューサーになって、往年の大俳優と再会するんだよねー。ありかも。
ということで、「マリリンと7日間の恋」良かったなあ。
原作を早速注文しちゃいました。