山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

真夜中の飛行機

今は、パリに向かう飛行機のなかである。日本時間では、4月9日の午前6時といったところ。金曜日の夜の便なので、毎度、満席。
(パリでミラノ行きに乗り換える予定)
寝静まった機内で、パソコンを開くにも勇気が入る。しかも、狭い。

機内で、日本画家、千住博氏の「絵を描く悦び」をいう新書を読む。
いやあ、よかった。この後、仕事でお会いするので、資料として読んだわけであるが、気持ちに整理がついたというか、すべての芸術は、底流のところで共通している、ということを思った。

千住さんは95年に日本人としては、はじめて、ベネチアビエンナーレで優秀賞をとられた方であるけれども、彼が絵を描く理由は、ただ、ただ、絵を描くのが好きだから、と仰る。そして、その他にはなにも考えられないと。

このように「好き」というのはまず、基本だなあと思う。好きで好きで、止めようと思ってもやめられないところから、始まる。そして、やはり、とにかく描くことだと、千住さんも言う。毎日、アトリエに通う。そして、考えるのではなく、絵筆をとる。もう、その繰り返しでしかないと。

そうなんだよなあとしみじみ思う。千住さんは、画家をめざす若者向けにこの本を書かれているのだけれど、「絵」をそのまま「小説」に置き換えて読んだ。すると、その言葉が、身体に染み渡ってくる。

日本を出る前、二作目の小説の初稿が上がり、それについての推敲のなかで、ちょっとしたトラブルがあったため、立ち直れない気分だったんだけど、なんだか急に目の前が晴れた。ものすごくシンプルなこと。

とにかく、書くこと。それだけなんだよな、と。あとのことは、また考えよう。書けばきっとなにかが変わる。今までもそう信じてやってきたんだし。

拙著「ベイビーシャワー」は海を越えて、韓国までいったし、この本を気に入ってくれた方が、電子ブックとして、幅広く宣伝もしてくださっている。
届く時には、必ず、届く。
そう信じていよう。イタリアで、千住氏に御会いできるのが、すごく楽しみ。