山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

芸術はひとを癒す

今日は、日本画家の千住博さんを取材した。
作品もすばらしいが、お話が面白かった。面白いというのは的確じゃないかな。
テレビの仕事としてではなく、小説家としていたく参考になった。

千住さんは、ご自身の作品が飾られる会場を熱意をもって、点検された。照明や効果など、ひとつひとつ丁寧に見て行き、納得いかない部分は、スタッフと熱心に話しあっていた。自分は作品を絶対の自信をもって仕上げた。だから、それをきちんと伝えたい、そのために飾られる場はとても大切なんだと仰っていた。

一方で、「芸術とはコミュニケーションである」ともいわれ、つまり、自分だけがわかればいいものではなく、多くのひとに、自分の作品が理解されるように、努力しないといけないのだ、とも仰っていた。

すべて、耳の痛いことばかりである。
これまで、テレビというマスメディアに身を置き、多くのひとに理解される番組を作ることを目標にしてきた。だからこそ、小説というミーメディアに向かったし、小説に関しては、みんなに理解されなくても、わかってもらえるひとにだけ、読んでもらえればいいのだ、という気持ちがあった。
でも、それじゃあ、ダメなんだよね。少しでも多くのひとにわかってもらえるように、努めないと。

そして、自分が精魂こめた作品なら、最後まできっちり見届けること。
(ベイビーシャワーについては、表紙のイラストは自分で選ぶなど、こだわったけど、その他は甘かったと思う)

私ももっと自信を持とう。そして、絶対の自信がある、といえるような小説を書こう。そしたら、小さなことでくよくよせずに、やっていけるのかもしれない。

やっぱり、芸術っていい。シンプルにそう思った。
(もともと、うちの家系は芸術一家だし、祖父も父も芸大だし。子供のころから、絵や彫刻に囲まれて育った。美しいってことが正しいことだった。だから、絵や美術作品を見ると安心し、芸術家に会うとなぜかほっとする。すごくシンプルなんだもん、考えることが。みんな、自分の作品が大好きなんだよね)

ミラノで千住さんの作品を見て、だんだん、心の傷が治ってきた。
やっぱり、来てよかった。(寒いけど)