山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

負け犬の未来。

今日は、日本テレビのワイドショー「情報ツウ」の取材だった。
いつもなら、取材といえば、私が撮影にでかけることを言うけれど、今日は、私が取材される側でした。

かつて、ペット番組に長く出演していたし、映画のシナリオの賞などでもインタビューを
受けたことがあるので、テレビ取材は初めてではない。
けれども、今日の取材は、なんといっても、私の初めての本「ベイビーシャワー」の取材なので、感慨ひとしおであった。

放送は、来週の月曜日。11月29日朝8時から始まる。「ベイビーシャワー」が取り上げられるのは、10時頃らしい。
昨日まで高熱にうなされていたため、本日はとても忙しかった。
半分、犬小屋化した部屋を人並みに掃除し、2日ほど、お風呂に入っていなかったので、
自分も清掃し、メイクなどをしていたら、スタッフが到着してしまった。
考えてみると、まる一日なにも食していず、ふらふらしているのは、熱のせいばかりではないことに気づいた。そこで、近くにあったチョコレートをばくばく食べて、血糖値をなんとか上げて乗り切った。

テーマは、『負け犬小説」
私が「ベイビーシャワー」を書いている頃には、「負け犬」というカテゴリーはまだ、成立していず、だから、自分の小説がそのようなカテゴリーに入るとは思っていなかった。
しかしながら、仕事を持ち、30代後半になっても結婚していず、子供もいないとなれば、条件としては、私の小説の主人公ふたりは、立派な負け犬(言語矛盾を起こす言葉だが)なのだった。

なるほど。

そんな風にカテゴライズされてみると、結局、私が書いたのは、『負け犬」の未来であったのだな、と思う。
30代の負け犬たちは、いつも不安に思っているはずだ。
「わたしは、これからどうなるのかしらん」
まあ、このような漠然とした悩みに、
「例えば、こんな生き方もありますよん」とひとつの例を示したのかもしれない。

自慢に聞こえるかもしれないけど、私の小説は、女性誌10誌ほどが取り上げて下さった。
うち、エッセイの依頼を下さった雑誌もあり、自分の気持ちが、ある特定の女性たちにかなりストレートに届いたのではないかと、喜んでいる。

それは、マスコミで働く、20代後半から30代の女性たちだ。
彼女たちに共通するのは、みんな知的でおリコウさんで、仕事もできる。多分、週末遊んでくれる男に不自由もないくらいの魅力ももっている。
けど。結婚したい相手はいないし、母親になる可能性はあまり感じられない。
そんなとき、彼女たちはちょっと立ち止まるのだ。
こんなに楽しいけど、このままいってほんとに大丈夫なのかしら、と。
そんな思いが私の小説を手にするきっかけになるようだ。

意図したわけではないけれど、そういう女性たちに読んでもらえたことは、この上ない幸福である。
彼女たちの姿がかつて、さんざん悩んできた自分に重なる。
本を読んで推薦したり、取り上げてくれたり、bbsに書き込んでくれた方たちは、
何時間も長電話して漠然とした不安を話し合ったり、夜明けまで酒を飲んで、なぐさめあった、女ともだちみたいに思える。

そんな彼女たちが、ほんのちょっとでも、「ま、いいか、こんなんで」という気持ちに
たどり着けたとしたら、本望である。
そういう気持ちを取材にきたレポーターさんに話した。
熱は下がっていなかったけど、とても楽しい一日だった。