山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

ローズマリーの赤ちゃん

ディーン・クーンツ氏による「ベストセラー小説の書き方」という本を読んだ。
とても新鮮でためになる本だった。
なかみとしては、脚本を書く時に参考にしてきた、シド・フィールドの「シナリオライターのワークブック」と似ていた。
(このシナリオのハウツー本の指示どおりに、脚本書いたら、入賞したなあ)

ベストセラー小説って結局、ハリウッド映画に似ているってことなのね。
(ベストセラー小説が映画化されることはとても多いわけだし)

でもね、これまで私はずっと純文学の病にかかっており、テレビドラマの脚本はともかく、小説に関しては、「売れる」「読みやすさ」「面白さ」より、「自分が書きたい」ってことを意識してやってきました。

別に「売れる」ことに急に目覚めたわけではなく、いわゆる売れせんがどういう成り立ちでできているのか、学ぶのもよいと思ったのでした。
(まわりがあまりにキナ臭かったのでね)

で、「ベストセラー小説の書き方」になるわけですが、
(この後、スティーブン・キングの「小説作法」を読もうと思ってます)
この本のなかで、大衆小説を成功させるには、結末が大切であることが力説され、秀逸な結末をもつ小説として「ローズマリーの赤ちゃん」が紹介されていた。

「ローズマリーの赤ちゃん」はずっと前に映画で見たことはあったが、それほど強い印象をもっていなかった。もともとホラーやスリラーに興味が薄いからかもしれない。

が、何事も勉強、と読んだわけです。確かによく構成された面白さで一晩で読み終わった。
結末に近付くに連れ、どんな終わり方を見せてもらえるのか、とてもわくわくした。

クーンツは、結末では、「読者が考えつかないほどの驚くべき恐ろしい出来事が起こる」と書いているのだが、私としてはちょっと拍子抜けだった。

よくしられた話だからストーリーを書いてしまうと、主人公のローズマリーは悪魔信仰の信者の陰謀で悪魔の赤ちゃんを出産するんだけど、その時、ローズマリーのとった行動は?

これがラストまで読者をひっぱると思うけど、ようするに、わかりやすい母性に収斂されていくのだった。
つまり、悪魔の赤ちゃんであっても自分の子供だからかわいい、と思うようになって、赤ちゃんを抱き締めるのだ。

う~ん、う~ん。それって考え付かないほどの結末かなあ?
むしろ、誰もが予想できるように思ったのは、母性神話が、今の時代、あるいは、日本では強いからだろうか。

ちょっと相当がっかりした。
かといって、どんな結末だったら度肝を抜かれただろうかって考えても思い付かない。

というか、やっぱり読者を驚かすことを目的にするより、私は「こうあってほしい未来」を書きたいと思うのだった。

いえ、いろんな意味でものすごく御勉強になった。最近は小説のことばかり考えているので、ハウツー本を読んでいるとほんと、気が休まるのでした。

(今夜はほとんど寝ていないので、ちょっと朦朧としています)