大学四年の時、キリンビールに就職の決まったひとが言った。
「現在、日本のビールのシェアの6割強がキリンビールです。残りの4割をサッポロ、アサヒ、サントリーが奪い合っているのが現状です」
そのひとの言いたかったことは、キリンビールは永遠であり、だから自分も安泰、ということだったと思う。
それから20年以上が流れた。
キリンはアサヒビールに首位の座を奪われてしまった。
銀行の例を見てもそうだけど、絶対大丈夫なんてことはないよなあ。
今、それがテレビ局で起こっている。
NHKの不祥事やライブドアによるニッポン放送株の取得などを見ていると、
テレビ局だって、あっという間に変わるんだろうなあと思えてくる。
永遠、という言葉は美しく響くけど、ほんとにそれはきれいなものかな。
ものごとが移り行くのを見る方が心が踊る。
「徒然草」(なつかしいなあ)のなかに、こんな逸話があった。
ものすごいお屋敷をみて、そこを通りかかったひとが言う。
「こんなすごいお屋敷に住む人は代々お金持ちなんでしょうねえ」と。
すると、別のひといわく
「いいえ。このお屋敷の主は一代で財をなしたんです。このお屋敷だって手に入れたばかりですよ」と。
ライブドアの堀江社長を見ていたらこの逸話を思い出した。
ちょっと苦戦しているみたいだけど、頑張ってほしいなあという気持ちにもなる。
なにかしでかして、テレビがすっかり変わったら、それはそれで楽しいような気がする。
もしかしたら、そのことで、私は仕事を失ったりするかもしれないけど。
ま、そのときはそのときだし。
こんなことを思うのは、
永遠より、儚さ(はかなさ)に魅力が感じるからでしょうか。
やっぱり、満開のさくらより、散り際でしょう。
その一瞬の美しさのために、生きていきたいなあ。