山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

海のけはい


写真は、今日の夕焼け。手前が逗子マリーナで、奥のほうに江ノ島がうっすら見える。夕日は、この後、伊豆半島の後ろに沈む。期待しても海には沈まないんだな。

そんなわけで、今日もものすごくいい天気。
海を眺めて暮す日が5日も過ぎた。ずっとこういう場所にいると、のんびりしてくるというか、都会にいるときは、気になってしかたなかったことが、急にたいしたことじゃないように思えてくる。気持ちも正直になる。

湘南エリアは、ここから都内に通って仕事しているひともいるし、実際、電車でも車でも1時間以内で東京タワーにタッチできる距離だというのに、なぜか、すごく遠くに来た感じがする。

それは自分が新宿というごちゃごちゃした地域に生まれ育ち、山手線でギューギューになって、学校に通い、仕事をしてからも、盛り場まで15分みたいな場所で、焦って生きて来たからかもしれない。いっつもなにかに煽られて。

実際、都内の住処は、まわり中に高層マンションが立ち、昼間は窓をあけられないくらい騒音の激しい場所。24時間営業のマーケットからビジネスセンターからマッサージから本屋さんから、なにからなにまで揃っているけど、いつも慌ただしいし、落ち着かないのかも。

こっちの家は、窓の外は海ばかりだし、マリーナが近いこともあって、リゾート気分のひとか、地元ののんびりした漁師さんたちが多く、都会とは流れる時間が違う。

そういう環境のなかで、自分の小説を真夜中に読んでみる。(新しいやつね)。ものすごくひやっとした。いったい、コイツはなんてやつなんだって感じ。都内にいる時は、自分にとって身近な気分が、ここではとても違和感があった。

正直、焦った。私はいつのまに、こんなにずれちゃったんだろう。

もっとゆるやかな環境に生まれ落ちれば、ちがった気分で生きられたのだろうなあ、とすでに取り返しのつかないことを思うのでした。

でも、海を照らす月が、「まだ、間に合うぜ、おねえさん」って言ってくれたような。え。空耳?

なんか正直な気持ちになり、みんながいいひとに思えてくるから不思議。誰もわたしをいじめてなんかいないじゃん。