山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

トンカツやのまったりした午後

今日のブランチはトンカツ。
ブランチって感じじゃないですね。なんて朝っぱらからヘビーなんでしょう。
とはいえ、午後1時頃に出かけたわけですから、「お昼ごはん」とも呼べるんですが。

うちの近所にはなかなかおいしいトンカツやさんがあって、いつもにぎわっています。今日も行列とはまではいかないけど、常時待人が数名いらっしゃいました。

でもって、休日のトンカツやの午後っていうのは、まったりしていてよいものでございます。しかも、上野や新宿のトンカツやと違って、微妙に都心で、微妙に住宅街で、微妙にインビなシロカネあたりですと、トンカツほどにカラッとしていない客が多いのでございます。

まず、普通の家族連れがいない。いるとしたら、近所のお寺の帰りと見られる(今日はお彼岸でした)、老齢の一家。老女とその子供と思われる中年のグループなどですが、そういう方たちにとって、トンカツはヘビーですから、あまりいらっしゃらない。

で、一番多いカップルは近所に住む、30代以上のまったり系です。これが、指輪率がゼロなんですよ。(結婚指輪のことですね)しかも、男の職業がたいてい真っ当なサラリーマンじゃない。私の近くに座っていらしたカップルは、男女ともに40代くらいでしたが、男性は白髪まじりの長髪です。(キリストみたいな感じ?)。

話題から察するに音楽関係者。もちろん指輪はなし。しかし、会話の感じや二人の間を流れる空気からすると、夫婦みたいなもんなんです。しかし、男がときどき女のおでこにデコピンして遊んだりして、それを女が怒ったりして、ふざけているんです。40代の男女が。

さらに、もうひとつのテーブル。これはあきらかにテレビ関係者で、男は40代、女はたぶん、タレントさんで20代前半(あんまり著名じゃない)。ここももちろん、指輪なしだけど、うきうきデートなどではなく、一番安い定食なんか頼んじゃって、すでに「熟れた関係」なんですね。緊張感まるでなし。

もうひとつのテーブルには芸能事務所の女性社長(50代)と男のスタッフ風のひと(40代)で、食事が終わったあともずっと女性社長がしゃべっている。男はうんうん聞くだけ。
休日のトンカツや。
そこに流れるのは、油っぽい空気だけではなく、「トンカツを食べる関係」のひとたちでしか、ありえない、ちょっと気の抜けた、でも、トンカツを食べるくらいはまだ、脂ぎっているひとたちの出す霊気です。

いえ、もちろん、私も連れは指輪をしておりませんし、だらりとスポーツ新聞なんか読みながら、昼ビールしてました。

よく「焼き肉を食べにいくカップルはもうできてる」みたいなこと言いますけど、「トンカツを食べに行くカップル」っていうのは、どうなのかしら。

まったりした、トンカツやの午後。