山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

「クラッシュ」すごい。

いまさらですが、アカデミー賞受賞作「クラッシュ」見てきました。

すっかり、ノックダウンされました。
とても濃厚で、監督の演出がすみずみまで行き渡った映画だった。
わかりやすい結末に持って行く一瞬手前でずらして、それも後からよく考えてみれば、「テクニック」かもしれないけど、その瞬間瞬間はみごとな手業にやられました。

監督はポール・ハギスさん。1953年生まれだから53歳だ。
そして、なにがうれしいって、彼は、テレビドラマ出身だぞ。
いわれてみれば、テーマの重さにもかかわらず、観客を飽きさせない工夫や短いセリフで状況を伝えてしまうテクニックはやはり、テレビで鍛えられたからなのではないかと、こんなときは、(自分もテレビやなもんだから)、すっかり、「テレビ屋万歳!」になってしまうのだ。

「クラッシュ」は群像劇であるけれど、なかに黒人のテレビドラマの監督がでてくる。職業のせいか、
彼の外見がタイプだからか(そんな理由かよ!)、このひとに一番感情移入してみてしまった。
警察につかまっても、マスコミに騒がれることを恐れて黙ったり、白人の俳優からのいやな提案にもしぶしぶ従ったりしながら、仕事を続けていく姿に胸を打たれた。

だってさ、けんかするのは簡単だよね。(と言いながら、最近もやったけどさあ)
自分がやりたいこと、作りたいもの、行きたい場所があるとすると、砂を噛むときは噛むしかないわけで、わかるよ、アンタ!と言って、肩をたたきたくなりました。

自分も「女のひと」という、差別される側からのスタートだけど、一方で「女のディレクター」という優遇のされ方もあったかもしれないので、複雑だ。この先、企業の管理職の30%まで女性にしないといけない法律ができたりすると、力なくても「女」という理由で管理職になれたりもするんだ。

ということは、ともかく、「クラッシュ」よかったです。
う~む。
次に書くものに、すごく影響されてしまう。ちょっと軽めのものにしようと思ってたけど、急激にそんなこと、やってる場合なの?と正義感みたいなものが生まれてしまった。

どうなる、わたし。