山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

賞味期限切れコトバなど。

不二家さんなどで、賞味期限のきれた牛乳を使ったことから、大騒動になっている。
そこで、賞味期限について、考えた。ただし、言葉について。

昔から「死語」と呼ばれるものがあり、流行言葉などは、一定期間が過ぎると、使用していると、人格を疑われるけれども、もちろん、ライターが仕事なら、職を失う可能性だってあるから、食品メーカーにとって、食品の賞味期限と同じように、言葉だって、期限きれを使うのは危険なのだな。

自分として、これらの言葉はできるだけ、使わんでおきたいと思うものがある。世間の基準とはともかく。

 癒し……これは、なるべく使いたくないけど、この言葉以外で表現するのが難しいこともあるからなー。

 居場所……これも、流行ったでしょ。でも、テレビのナレーションだとまだ、使ってしまう。テレビのが言葉の賞味期限はゆるいからね。(当社比)

 愛……これもなー。批評的要素がないと使えないなー。

 生き様……期限関係なく、恥ずかしい感じのする言葉です。

 こだわり……テレビやってると、使わざるおえないので、つらいですけどね~。

 ゆるい……こいつもそろそろ、鼻についてきたな・・。

 かけがいのない……うーこいつも、便利な言葉なんだよなあ、乱射しやすい。
 
 村上春樹風……自分も思わずやってしまうし、村上春樹さんの文体ってやはり、国宝級のものだから、まねたい気持ちわかるし、やると受けるけど、踏みとどまりたいもののひとつ。オマージュだからいいのだ、と開き治っているならいいけど、でも、自分は気をつけたい。

とりあえず、今、思いつくのはこれくらい。小説書くとき、「どんどん」とか「ぐんぐん」などの言葉はなるたけ、使わないように、すご~く気を遣ってきたけど、最近の小説読むと乱発されてるし、むしろ、そういうべたっとした、しゃべり言葉(決して話言葉でなく)に親近感をもたれるようだから、悩むところ。

けどまあ、自分の年齢であんまり、若者言葉におもねってもしようがないしな。おっさんが無理してギャル語使っているのって、「汗」っぽいし。おっと、書いてるうちに、書いてることそのものが、期限切れっぽくなってきたが。

あとなー、方言、多めっていうのも、ちょっと匂う。狙いすぎの感がある。関西人が普段から全員関西弁かっていうと、そうでもないのに、書き言葉になったとたん、「関西風」=親しみやすさ、ざっくばらんなどを狙うのが、いやだな。そういうもの読むと、「げっ」。小手先の技を使いやがって・・と思う。しかし、自分も例えば、金沢の旅番組作ったことあるけど、そういうとき、必ず、「金沢っぽい」町並みを撮影する。ちょっと角を曲がれば、日本中どこでも同じ田舎町の風景が広がっているのに、金沢のイメージにあう場所を中心に撮る。

もちろん、そういう「金沢」っぽい映像が期待されているので、しようがないんだけど、それに似てるかな。小説の旅番組化。小説全体が、テレビっぽいもんなー。そういう意味では、言葉の使用期限はどんどん(使ってるじゃん)短くなっているかもしれない。今日新鮮だったものが、明日、匂う。そういうものかなあ。仕方ないかなあ。

しかし、生業にしている以上、無関心ではいられないのであった。賞味期限には、敏感でいたい。