山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「それでも恋するバルセロナ」

今日は、渋谷の文化村で、映画「それでも恋するバルセロナ」を見て来ました。

「マッチポイント」以来のウッディ・アレン監督作です。(自分が見たのがって意味)。

いや~よく出来ていること。アメリカからスペインのバルセロナにやってきた若い二人の女性。二人とも美人で、アートや文化に興味があって、でも、恋愛観は正反対というキャラクター造型です。で、お約束のようにスペインの情熱的な男と知りあって、ふたりは、愛を巡る旅に落ちていく…というあらすじです。

最初は、恋や情熱の魅力…というか魔力を描いているように見えるのですが、ずっと見ていくとその滑稽さや、どうしようもなさのほうが目につくようになっていく。初めは、赤いシャツを着た、セクシーなスペイン男こそ、かっこいいと思えるけど、最後は、ブルックスブラザースのスーツを着たアメリカ男のほうが、ほんとはいいのかも…?と思えてくるから不思議。

情熱を語る芸術家ふうのセクシー男の、いいかげんさや自分勝手さや、子供っぽさが暴露され、こいつって、ダメ男じゃんと思える。…それに対して、NY在住のヤッピーふうの、話は一見退屈そうだけど、安全で誠実なことも悪いことばかりじゃないと…。

自身もたくさんの恋をしてきて、たくさんの恋愛の濃さを描いてきたウッディ・アレン監督も、年を重ねて、「恋愛」に辟易したのかしら。あんなに熱くて盛り上がる恋愛も、そんなにいいことばっかりじゃないし…情熱の国(?)スペインも、キレイゴトばっかりじゃありませんよーと冷たい水をかけられたような気持ちになりました。

観客は、中年以降のまじめな感じの女性が多かったんだけど、こんな、20代の女子ふたりの恋愛三昧の映画をどういう興味で見るのだろうとちょっと思った。(いや、自分もそんな世代なんだけど)。もちろん、ウッディ・アレンファン世代なのだと思うけど、見終わると、中年好みの内容だったことがわかる。もはや、恋愛にきれいな夢をもっていない世代なら、納得して見終わるだろうなーと思った。

コレ、この映画の主人公たちみたいに、インテリで、アートが好きでって、20代の女子たちは、どーみるのかなあ、「それでも恋はいいもの」って思うのか、「しょせん、そんなもんですよ」って同じく冷えた態度で見るのかなあ。ちょっとそれを聞いてみたくなった。

前にみた「マッチポイント」は、道ならぬ恋にはまった男が、殺人までするお話だったから、その陰画みたいとも言える。パワーはやっぱり、「マッチポイント」のほうがあったなあ。

シニカルな映画って吸引力が低いのかなあ、やっぱり。王道で、恋に燃え、別れに泣く…ってことをやらないと、「感動!」ってものは来ないのだろうか。

迷い多き日々よ。