神さまが私の行動を見ていてくれたのか、単なる仕事の上達(?)か、今日はテレビの編集がびっくりするほど早く終わり、うっひゃーって感じで、品川で「サイドウエイズ」を見ました。
昨晩、見たい映画をピックアップしたばかりだったんですけど、「母なる証明」とかアニエス・バルダの「アニエスの浜辺」とか、じっくり見たいと思っていましたが、朝から編集で、疲労が蓄積されていたので、気楽に見られるものにしようと、「サイドウエイズ」をセレクト。
さすがに小日向文世さんと生瀬勝久さんなので、ふたりのやりとりは面白いし、カリフォルニアの風景も美しい。しかし、元の映画を知ってしまっているので、ついつい比べてしまうし、脚本のながれや結末を知っているだけに、なかなかストレートに見られなくて、残念だった。
ざっくりあらすじを説明すると、ロスに留学経験のある小日向文世さん演じる、あんまり売れてないシナリオライターが、ロス在住の友達の結婚式に出るためにロスに行きます。この友人を生瀬さんが演じており、彼は役者で、忍者もののテレビシリーズの主演をしたことがある。ヒット作はこれだけで、今はレストランの雇われ店長をしている。この店のオーナーの娘と結婚することになり、最後の独身を楽しもうと、小日向さんと旅に出るのでした。
まあ、どちらもぱっとしない中年男という設定。
で、かつて小日向さんが片思いをしていた鈴木京香演じる女性とその親友(菊池凜子)と出会い、四人で遊ぶようになって…というお話。07年のアメリカ映画「サイドウエイ」のリメイクです。
元の映画を知らなかったら、もっと楽しめただろうなー。それにしても、ふたりのシーンは良くできていて、芝居もとてもよくて、見応えがありました。あと、スタッフがハリウッドの方たちのようで、カメラワークやカット割りが独特で…というか、ハリウッド方式のなかに、見慣れた日本の俳優さんが入っているのが、新鮮というか、ちょっとした違和感がありました。こういう照明で見るとこのようにこの女優さんは映るのだな…と思った。不思議だった。
そのほか、元の映画では、小日向さん役のひとは、小説家志望なんだけど、小日向さんはシナリオライターになっていて、その分、痛みが増してました。それを「痛み」と感じるのは、自分も同業者だからかな。いや、自分は小説も書くのだから、そして、元の映画の小説家が、いくら書いてもなかなか出版にこぎつけられない…というくだりは、まったく自分も同じだったので、充分痛かった。
しかし、今日見ると、シナリオライターという設定がより痛々しく思えるのは、なんでだろう。シナリオライターのほうが、生臭い職業だからかな。生臭いというか、小説よりもっと、「売れる」ことが求められるからか?
物語の最後で、小日向さんが、「ヤングシナリオ大賞は無理でも、城戸賞があるよ」と笑うシーンがあるんだけど、うう、痛い。いや、普通のひとにはわからないだろうけど、痛いよー。えっと、軽く説明すれば、ヤングシナリオ大賞は、フジテレビのやっている脚本の新人賞で、ここから野島伸司さんなど著名なライターが出ている。城戸賞は映画の脚本に贈られる由緒ある賞である。
じゃ、「城戸賞とれたらいいじゃない?」と、思うかもしれない。けどさ…、城戸賞とったくらいでは、シナリオライターとして生き残れないことは、すでに歴史が証明しちゃっているのさ。城戸賞とっても、仕事のないライターさんを結構、知っているし…。
…とそういう部分にばかりひっかかってはいけませんね。ユーモアあふれるリラックスした映画でした。中年の物語っていうのも、なんだかいいなー。
そんなわけで、昨日も芝居に行けたし、今日も映画に行けたし、結構、幸せ。今週もやりくりすれば、まだまだシアターに行けそうだ。ふむ。