山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画「NINE」と「Luke and Stella」



今日は、早起きして(…といっても、当社比)、吉田大八監督の新作「パーマネント野ばら」の試写に出かけた。自分としては随分早く着いた。(試写開始15分前)。ところが!…まさかの満席。会場前には、入れなかったひとがあふれていた。いやーすごい人気です。見られなかったけど、人気があるのはいいことだ。それだけ期待度が高いってことだろう。見てないので、感想書けないけど、成功を祈りたい。ツイッター仲間の女子が、「すごくよかった」って言ってたし。

そんなわけで、試写に入れず、急に暇になり、銀座へ。映画「NINE」を見ました。見たかった理由は、映画監督が主人公だから。それと、松尾スズキさんも、ツイッターで、「演出家なら誰でも覚えがあるようなシーンが結構ある」みたいなことを書かれていて、なおさら見たかったのだ。

舞台は1964年のイタリア。フェデリコ・フェリーニをモデルにしたと言われる舞台の映画化である。クランクインが迫っているのに、なかなか脚本がかけない監督が主人公。彼が映画を撮り始めるまでの苦悩が、数人の女性との関わりを中心に描かれる。美女とダンスと音楽のめくるめく世界。

いや~映画が、エンターティメントの王様だった時代の、絢爛豪華な作品である。脚本が書けない監督は、そりゃあ、大変だろうけど、たとえ、書けなくても、ちっとも同情する気になれない。だって、ものすごい優遇されているんですもの。当時は、「映画監督」ってマエストロなんて呼ばれて、芸術の頂点に立つ、尊敬を集める存在だったんだな。(まあ、フェリーニさんですからね…)。

そんな監督の苦悩なんて、今から見たら、おとぎ話である。今の日本の監督たちが見たら、みんな、ふーっとため息をつくんじゃないだろうか。だから、ミュージカル仕立てだし、幻想のように描かれているのかな?ハリウッドの監督だって、ここまでわがままにはできないだろう。

だって、クランクイン10日前に脚本ができてなくて、記者会見をこっそり抜け出すようなマネをするんですよ。そんなことをしても、プロデューサーは、監督の潜む温泉地(スパのある場所)に、スタッフ全員引き連れて来て、「さあ、ここで準備しよう」って言うんだ。

そんなことあり得る?完成披露のインタビューで、「別に」と言っただけで、主演女優が仕事をなくすような時代です、今の日本では。脚本も書けてない、記者発表から逃げるような監督は、すぐにおろされて、別の監督が撮るでしょう。脚本を書くひともいくらでもいるでしょう。それが現代。

だから、スパに愛人を呼んで、そこに妻も来ちゃって、愛人は自殺未遂するわ…なんて、痴話沙汰をやって、「書けない」「なにも浮かばない」なんて苦悩している監督は、今ならクビもいいところ。誰も同情しないし、勝手にやってれば?ってことになる。

まさに20世紀の、映画全盛時代を懐かしむような映画だった。そして、映画の中に描かれる女性たちが、みんなきれいで、すばらしいんだけど、それも、どこか懐かしい。昔って、あんな女性ばっかりだったの?ってくらい、みんな古めかしい。

主人公の監督は、よくいる「いつまでも少年」タイプ。40歳近いのに、10歳の気持ちだ…なんて言っている。(いつまでも言ってろよ!という気持ちになる)。昔は、たぶん、それでよかったんだよね。そんなガキみたいな男に、とびきりの美人たちが、群がる。貞淑な妻、セクシーで奔放な愛人、クールだけどすごい美貌の主演女優、いきなりホテルのキーを渡してくる、セクシージャーナリスト。そして、オーディションでやってくる新人女優たち。誰もが彼と寝たがっている!?

ある種の男性の夢でしょう。監督ってそんなにモテるのか?って。

でも、彼女たちは、どこか弱い。男に振り回されすぎだし、見た目の美しさばかりが強調される存在だ。男子にとっては、天国かもしれないけど、この時代、女性は、なんか、かわいそうだったんだなーと思った。それに、愛人のセクシーダンスだけど、(ペネロペ・クルスがそりゃもう、エロチックに踊る)、これ、今の草食男子が見たら、「結構です」って言って逃げ出すんじゃないかな。セクシーだけど、セクシーすぎて、怖い感じ。おなかいっぱい。セクシー妖怪に見えた。

今だったら、主人公の監督は、「セックス依存症」と診断されて、専門の施設で依存からの脱出をはかることになる。もし、自分が撮るなら、そっちの設定のがいいな、そっちのが面白く書けると思う。

…と脱線しましたが、それでも、創作の苦悩に落ちる監督の姿には、シンパシーを禁じ得ませんでした。いつも人生に悩んでしまう姿は、時代が変わっても同じだなとしみじみ思った。この映画、監督の苦悩をフォーカスするのではなく、ミュージカル仕立てで、にぎやかに描くことで、成功した…と言われているけど、自分は、監督の苦悩をまっこうから描いてほしかったなー。豪華なミュージカルより、監督の苦悩がもっと見たいというのは、自分も「苦悩派」だからかな…笑。

そんなわけで、いろいろ考えされられたあと、銀座丸井3階で、4月23日までやっている、セレクトショップ「Luke and Stella」へ行ってきた。これが、店内の写真。


仲良し女優の、今村沙織里ちゃんが、いるのでね。普段は、ベーシックなスタイルの今村ちゃんが、とびきりガーリーになっていて、可愛かった。


今村ちゃんには、5月の横浜でのトークイベントで、司会をやってもらう予定。自分の映画にも出てくれたし、とても気持ちのいい、これからが楽しみな女優さんなんで、注目しているのだった。


せっかくなので、「カップケーキ」のかたちのネックレスを購入。春から夏にかけて、Tシャツとかにしたらカワイイアイテム。ネズミのブローチもかわいかったが、ケーキに負けた。こんなかわいいアイテムや、一点物のガーリーな服がたくさんありました。

そんなわけで、遊んでいるような、遊んでいる一日でした。