山田あかねの一喜一憂日記

心に引っかかるテーマは前後の見境なく取材に行きます。映画、テレビ、本つくってます。

映画の未来。

単館系の映画館は、どんどん厳しくなっている…という状況がある。

自分は、単館でかかるような映画が好きだし、作りたい。けど、この不況時、大手の映画会社による、テレビ局とのタイアップがないと、興行的に厳しいと云われている。

で。

どうすれば、打開できるだろうか。

自分は、「作り手」側なので、「売る側」のことをあまり考えたことなかった。自分が作りたいものを作れたら、それでいいや…というスタンスであった。

が。

実際、映画を作ってみて、いろんなことを知って、「自分は作り手だから、売り場のことは知らん」というわけにはいかないと思った。というより、改善しないと、上映してもらえる場所がなくなってしまうということを知った。

そこで、考えた。というか、この間、ブックディレクターの幅さんが言ってたんだけど、

「もっと、外に出て行けば…」ってこと。

つまり、映画館の暗がりのなかで、「お客さん、来ないよー」「宣伝費だって、限られているからきついよー」と落ち込んでいても、先はない。

自分たちから出て行ったら?って。幅さん。

例えば、近所の小学校、中学校などと、相談して、一学年まるごと、映画を見に来てもらう。授業の材料にしてもらう。割引料金などで。そういう試み。

今のコは、映画館で映画を見る…って経験も少なくなって来ているし、なにも、テレビで宣伝しているメジャーな作品じゃなくても、学校の行事として、みんなで見たら、また、違ってくるかもしれない。

ほとんどの子にとって、その映画を見ている間は、「どーでもいい時間」になったりするかもしれない。けど、必ず、一割や2割の子供たちには、なにかが届くはず。いい経験になる。

中学生、高校生なら、それがきっかけで、もっと映画館へ行くようになるかもしれない。自分たちも作ってみようと思うかもしれない。

あるいは、商店街のひとたちを招待する。それは、「祭り」のようなものになるかもしれない。けど、大切なのは、きっかけじゃないかな。

映画の宣伝っていうと、メディアを使って、告知することがメインになっているけど、もっと違うアプローチがあっていいんじゃないか…と思った。

それは自分が実際やってみてわかったことだ。友達が頼んでくれたことで、ジャック&ベティで上映することになったし、海外へ持って行くのも、友人の協力があったからだったりする。

これまでの慣例にとらわれているひとが、映画業界って結構、多いような気がする。「監督はそんなことまでしない」とか言われるし。

そういう時、自分はテレビの出身だなあとしみじみ思う。テレビ業界は、ADさんがなんでもやる。特にバラエティ番組の場合、予算も時間もないから、自分たちでできることはなんでもやってしまうのだ。そして、視聴率という厳しい壁があるから、必死。その経験が自分にはあるので、象牙の塔に籠もって、芸術だから、宣伝するなんて、はしたないことしたくない…なんて、思ってもみない。

だってさー、作ったものを、ひとりでも多くのひとに見てもらいたいし、本も読んでもらいたいから、そのためなら、やったらいいじゃないか…と思うのだ。

某ファストフードの社長は、子供に小さいころからハンバーガーを食べさせることで、生涯、ハンバーガーを食べる人間を作り出した。だから、ファストフードのハンバーガーショップは、子供にとって、居心地がいいようにできている。

映画も本も、子供のころから、好きになってもらっておけば、生涯、離れないと思うよね。今は、ゲームやアニメがその役割りを担っているけど。

ハンバーガーと映画は違う…と言われたら、それまでだけど。

車が売れなくなっても、ひとは移動する楽しみをなくしたわけじゃないように、ひとはいつまでも、決して、物語に触れる喜びをなくしたりしない。だから、方法はまだ、いっぱいあるように思う。

映画や本は、ハンバーガーや車とはちがうことはわかっているけど、その「特別さ」のなかであぐらをかいているうちに、滅んでしまうより、なにかしたいと思った。

あと、今ね、「読書会」っていうのが、流行っている。一冊の本を決めて、みんなで読んで来て、集まって話す。そういうこと。ひとと本を共有することで、いろんな話ができるし、本がきっかけで友達ができる。そういう使われ方をしたって、いいと思うんだよね、本。

映画も同じことできるんじゃないか。だから、さっき、言ったように、ひとつの学校の生徒に見に来てもらうとかさ。奥様バレーの人びとに見に来てもらうとかさ。そういうの、「あり」だと思うんだけど。